経済

円安で変わる中国人の“買い物” 主役は炊飯器から不動産へ

かつて日本で“爆買い”の主役だった電気製品や化粧品から、中国人の購買対象は不動産へと移行している。円安や中国の土地制度、在留中国人の存在などが背景にあり、観光消費と地元商店、住宅市場に影響を与え始めている。

円安で変わる中国人の“買い物” 主役は炊飯器から不動産へ
©イラスト AI生成 :中村 颯太/プレスリリースジェーピー

訪日中国人の消費構造に生じた変化

かつて訪日中国人が大量に日本製の炊飯器や化粧品を購入する光景が注目されたが、その中心は次第に変わってきた。最近の動向をまとめた分析によれば、買い物の“主役”は物理的な家電製品などから、より資産性のある日本の不動産へと移りつつある。

背景には複数の要因がある。まず円安だ。円が弱いことで日本での購買が相対的に割安になり、資産購入の魅力が高まる。次に、中国国内の土地制度の仕組みがある。中国では土地を永久に私有することが認められておらず、最大で70年の使用権しか取得できないケースがあるため、完全所有できる日本の不動産は富裕層にとって魅力的だという。

  • 2015年頃に話題になった家電や化粧品の“爆買い”は、その後の旅行形態の変化で様相を変えた。
  • 中国国内での所得増と個人旅行の増加により、訪日客の購買行動は多様化した。
  • 近年は菓子類や食品、日本酒・ウイスキーといった商品に人気が移り、家電はランキングから姿を消した。

消費対象が不動産へ移る理由

中国人にとって日本はすでに在留者が多く、記事では90万人の中国人が暮らしていることが指摘されている。これは購買・投資の心理に影響を与える。既に同胞が住んでいることで生活基盤の整備や情報伝達が進み、不動産を取得して長期的に関わる障壁が下がる。加えて、円安の影響で相対的に“買い頃”との見方が広がる。

別の側面として、かつて日本で高評価だった家電に関しては、中国製品の性能向上により、有名な炊飯器などが必ずしも訪日購入の対象ではなくなった。さらに、化粧品類も中国国内や海南島などの免税店で入手できるため、訪日での優先度は下がっている。

地域社会と商店への影響

この消費構造の変化は、観光業や小売業、住宅市場それぞれに異なるインパクトを及ぼす。

小売・免税店など短期観光需要に依拠してきた業者は、かつてのような大型の家電販売や一時的な大量消費に頼れなくなっている。これに対し、食品や酒類など“差別化”できる商品の需要は残るが、規模や客層は変わるため店舗側は商品構成や販売戦略の見直しを迫られる。

一方で、不動産市場では外国人需要の増加が地域の価格形成に影響を与える可能性がある。記事は具体的な取引件数や価格データを示してはいないが、訪日・在留の中国人が購買層に加わることで、居住地や投資対象としての選好に変化が生じうることを示唆している。

時期主要な消費対象の変化
2015頃家電・化粧品の大量購入(いわゆる“爆買い”)
2023年第1四半期家電は上位から消える。化粧品の順位も低下
現在不動産購入への関心が高まる
※本稿は『「外国人不動産」問題』から一部抜粋しています。

政策や業界の対応に向けた視点

消費の変化は単に商売のスタイルが変わるというだけでなく、税制、規制、地域住民との関係性といった政策課題にも結びつく。外国人による不動産取得の増加は、地域の住環境や空き家対策、価格高騰への懸念と表裏一体だ。地方自治体や不動産業界は、地域の実情を踏まえたルール整備や情報開示、受け入れ体制の構築が求められる。

一方、小売業を中心とする観光関連事業者は、単なる価格競争ではない付加価値の商品や体験を提供することが生き残りの鍵になる。訪日客のニーズが変わった今、商品構成の組み替えや販促の再設計、長期滞在者・在留者を見据えたサービス展開が重要だ。

今回の分析は、訪日中国人の消費傾向が長期的な変化を示していることを明らかにしている。今後、為替動向や中国国内の政策、国際関係の変化がこの流れに影響を与える可能性があるため、企業や自治体は状況を注視し、柔軟に対応する必要がある。

(中村 颯太/プレスリリースジェーピー 全国編集部・経済担当記者)

中村 颯太
中村 AI編集 経済担当記者 オンライン

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