クレジット決済停止で客対応と資金繰りに混乱
大阪市中央区に本社を置くクレジットカード決済代行会社「全東信」が破産手続きの開始決定を受けたことを受け、府内の飲食店・小売店を中心に影響が広がっている。破産管財人の調べでは、売上金の未入金は少なくとも約2万件、計約53億円にのぼるという。カード決済が利用できなくなった店舗には「当面の間、現金での支払いをお願いします」といった貼り紙が相次いでいる。
全東信は1987年に創業し、99年以降に全国展開を進め、2018年に導入店が20万店を超えたとされる。特に歓楽街のラウンジや小規模飲食店で広く使われ、「全東信なら審査に通る」といった評判で採用が進んだ経緯がある。だが、新型コロナ禍や各種キャッシュレス決済の普及で業績が悪化したほか、加盟店契約での不正も発覚し、資金調達に支障が生じ、最新の負債額は約1151億円に達している。
地域の店舗が直面する課題と対応の現状
府内の繁華街では、飲食店の売上でカード決済が占める割合が高い店舗が多く、入金が滞ることで短期の資金繰りが逼迫している。あるミナミの海鮮居酒屋では客の支払いの7〜8割がカード決済で、6月中旬以降入金が確認できておらず、100万円以上の売上金が未入金になっていると店主が説明している。別の地域では、代替の決済代行サービス導入が7月下旬になる見込みで、当面は現金対応で営業を続けるしかない状況だ。
- カード決済停止に伴う即時の影響:来店客の支払い方法が限定され、会計の手間と現金管理の負担が増す。
- 資金繰り面のリスク:未入金分の売上が直ちに戻らないため、仕入れや人件費の支払いに支障が生じ得る。
- 信頼関係の問題:顧客からの信頼維持や予約のキャンセルリスクが高まる可能性。
業界団体や行政の対応と事業者が取るべき実務
大阪南料飲観光協会など業界団体には、相談が多数寄せられており、同協会はホームページで「カード決済はしないでください」といった緊急案内を掲示した。併せて、全東信との契約書や入金履歴の保存を周知している。
事業者側がとるべき実務対応としては、以下が挙げられる。
- 全東信との契約書、入金履歴、端末貸与に関する書類を速やかに整理・保存すること。破産手続きでの債権主張に必要となる可能性がある。
- 顧客対応として、店舗入り口やウェブサイトで支払い手段の変更を明確に掲示し、トラブル発生時の連絡先を案内すること。
- 可能であれば大手カード会社と直接契約するか、他の決済代行サービスを速やかに検討すること。ただし、記事によれば他サービスへの移行には審査や導入準備の時間を要するため、短期的な資金対応策も必要になる。
「支払いには数年単位の期間がかかり、金額も極めて少ない可能性がある。全東信の破産が倒産の引き金になりかねない」
(帝国データバンク大阪支社の指摘)
府民・消費者への影響と注意点
今回の事態は店舗側の運営リスクに直結するが、消費者にも即時の影響が及ぶ。カード決済ができない店舗では現金決済を求められるため、来店時は現金の用意が必要になる。特に歓楽街や予約の多い繁盛店では、会計時の混乱で待ち時間が増える可能性がある。予約時や来店前に店舗の支払い方法を確認する習慣が求められる。
また、カードで支払ったにもかかわらず店舗に売上金が入らない事態が発生しているため、消費者側でできる対処は限られるが、クレジットカード会社やカード発行会社に問い合わせることで、支払い状況の確認や消費者保護の観点での対応が得られる場合がある。
今後の見通しと地域経済への波及
破産管財人は、全東信から未払いの売上金は破産手続きにおける破産債権として扱われ、従前に約束した期限に弁済することはできないと説明している。未回収の売上金の扱いによっては、小規模事業者の資金繰りが悪化し、倒産や休業に追い込まれる事例が相次ぐおそれがある。帝国データバンクは、支払い回復までに長期間を要する可能性を指摘しており、地域の雇用や仕入れ先、観光消費にも連鎖的な影響が及ぶことが懸念される。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 未入金件数 | 約2万件 |
| 未入金額 | 約53億円 |
| 負債総額(最新) | 約1151億円 |
事業者は早急に代替手段の検討と資金繰り対策を進めるとともに、業界団体や自治体、金融機関が連携して支援策を整備することが求められる。消費者側は来店前に支払い手段を確認し、店舗側は情報発信を徹底することで混乱の拡大を抑えることができる。地域経済への波及を最小限にとどめるため、今後の手続きや支援の行方を注視する必要がある。