深刻化する少雨と県の対応
和歌山県では夏以降の降水量が平年を大きく下回り、県は2026年9月2日、渇水対策本部を設置しました。設置は21年ぶりで、県管理のダムの貯水率が著しく低下していることを受けた措置です。和歌山地方気象台の観測では、7月と8月の降水量が平年の数割に留まり、地域によっては60日間で累計がわずか数十ミリという極端な少雨になっています。
ダムの現状と数値
報道によれば、県管理のダムで貯水率が大幅に低下しています。時点や報道によって若干の差異はあるものの、各報道で示された数値を整理すると下表の通りです。
| ダム名 | 報道時の貯水率(報道元) |
|---|---|
| 広川ダム | 2%(9月2日朝の報道)、別報道では8月31日時点で4% |
| 切目川ダム | 19% |
| 二川ダム | 13% |
| 島ノ瀬ダム | 約24.6%(前年同時期は約93%) |
産業への影響―有田みかんの現場から
少雨は農業にも直撃しています。有田川町の柑橘園では、葉が落ち実の発育が鈍り、色づきや大きさに顕著な差が出ていると取材で確認しました。現地の生産者やJA関係者は、実の小型化や味の濃淡、木自体の弱体化を懸念しています。実際の現場では、収穫量の減少に伴う売り上げ圧迫を心配する声が上がっています。
「雨が少ないのでサイズが小さくなり、収穫量もかなり減ると思う。売り上げもあまり伸びない」
JA和歌山の説明では、少雨が続くとみかんは小ぶりになり、糖や酸が凝縮されやすくなる一方、木が弱るリスクが高まると指摘されています。また、急激に大量の雨が降ると果実が水分を吸いすぎて品質が劣化する可能性があるため、今後の降雨パターンにも警戒が必要です。
住民・事業者への影響と県の備え
県は現時点で取水制限を実施する段階ではないとしていますが、利水者からの要請があれば、通常は利用しない「デッドウォーター」域の貯留水からの取水や、給水車の手配などを検討すると発表しました。また、県は県民・事業者に対し節水への協力を求めています。
- 家庭でできる節水の具体策:洗濯の回数を減らす、風呂の残り湯を洗濯に再利用する、散水時間を短縮する。
- 農業者向けの注意点:散水の計画的実施、土壌保水対策の検討(マルチング等)、県やJAと連携した支援情報の確認。
- 旅行・観光業への影響:観光地の緑地管理や一部施設での水利用制限の可能性に留意。
背景となる気象状況
気象の面では、西日本を覆った太平洋高気圧が強く留まり、降雨を抑えた一方、日本海側や東日本では別の高気圧配置などの影響で湿った空気が流入し大雨をもたらすなど、東西で降水量の差が拡大しました。和歌山県の一部では、過去60日間で累計降水量が著しく少ない地域があることが確認されています。
今後の見通しと県民への助言
台風などで一時的にまとまった雨が降れば貯水量回復の期待はありますが、一方で短時間の大雨は災害を引き起こす可能性もあるため、単純に「恵みの雨」とは言い切れません。県は関係部署で対応を調整し、利水調整や給水支援の準備を継続します。住民は最新の気象情報と県の広報をこまめに確認し、節水や農作業の調整を心がけてください。
(取材・文:岡田 美穂/プレスリリースジェーピー和歌山県担当)