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地下水で暮らすまちが描く水の将来像

福岡県うきは市は、全世帯が地下水を利用する全国唯一の市として、持続可能な水資源の保全と利活用を目指す「水に関する基本計画」を2027年度にまとめる方針を示した。

地下水で暮らすまちが描く水の将来像
©イラスト AI生成 :三浦 遥/プレスリリースジェーピー

うきは市、地下水中心の生活を将来へつなぐ基本計画を策定へ

福岡県うきは市は、市民生活の水需要をほぼ全て地下水でまかなう現状を踏まえ、「水に関する基本計画」の策定を進めている。計画は市民の意見や国認定の専門家「水循環アドバイザー」の助言を受け、2027年度にとりまとめることを想定している。市は水資源の保全と利活用を指針化し、異常気象や水質リスクに備える方針だ。

うきは市の特徴は、世帯の水利用がほぼ100%地下水に依存している点にある。市内の約1万1600戸の家庭が地下水を利用し、上水道を市が整備していないのは全国の市の中で唯一だ(市営団地向け専用水道事業など一部を除く)。このため、地下水の安定確保と良好な水質の維持は市民生活と直結する重要課題となっている。

市の地下には、約80万年前に筑後川が運んだ土砂が堆積して形成された帯水層が広がる。帯水層内の水が滞留する期間は平地で20~35年、山地で約50年と長く、この滞留時間が良好な水質につながっていると市は説明する。だが、気候変動に伴う降水パターンの変化や、土地利用の変化による水量減少や水質汚濁といった将来的リスクは無視できない。

「恵まれた水資源を適切に維持、活用することで、豊かな地域の暮らしを実現できる市になってほしい」

こう語ったのは、山梨大の中村高志准教授(同位体水文学)。中村准教授は国の水循環アドバイザーとして、筑後川の大石堰や名水百選の清水湧水を視察し、地下水資源の現状と保全の必要性を確認した。

上水道整備の費用と市民の意向

市が提示した上水道整備の試算では、初期費用と50年間の維持管理で352億円が必要となる。試算に基づくと、使用料は4人家族で1か月当たり7,670円になる見込みだ。こうしたコストと既存の地下水利用状況を踏まえ、15年に実施した市民アンケートでは、上水道が整備された場合に利用を希望するとの回答は27.5%にとどまった。

市は将来の水確保策として、20120年(注:資料では「20年」と表記)に朝倉市の小石原川ダム整備に対して12億円を拠出し、水利権を確保した経緯がある。だが、ダム整備や水利確保は水量安定化の一手段であり、上水道整備の是非や費用負担、地下水保全の具体策を含めた総合的な方針が求められる。

項目数値
帯水層堆積の年代80万年前
地下水滞留時間(平地)20~35年
地下水滞留時間(山地)約50年
地下水利用世帯数約1万1600戸
上水道整備の総費用(試算)352億円(初期+50年維持管理)
試算の4人家族の月額7,670円

住民生活と地域経済への影響

地下水に依存する現状は、住民にとっては水道料金の負担が直接的に変化する可能性を意味する。上水道整備に伴う月額利用料の試算は、家庭の家計に影響を与える可能性があり、特に高齢世帯や低所得世帯にとっては負担感が強まる懸念がある。一方で、上水道が整備されれば、水道水質の管理や供給の安定性が向上する利点も想定される。

また、観光資源としての清水湧水や地域の名水はまちの魅力でもあり、水資源管理の失敗は観光や地域ブランドに影響を与えかねない。企業や農業用水への影響も含め、地域経済全体のリスク評価と対応策が必要となる。

計画で検討される論点と住民向けの実用情報

  • 地下水量の長期的なモニタリング体制の構築と結果の公表
  • 水質汚濁リスクに備えた土地利用ルールや保全対策
  • 上水道整備の費用負担と利用希望率の変化に応じた段階的な導入案

住民への実用的な情報としては、現段階で以下の点を確認しておくとよい。まず、現在の飲料水や生活用水の供給源が各家庭の井戸である場合、定期的な水質検査と井戸周辺の管理が重要である。浸水・土砂災害時や大雨後には一時的な水質変化が起き得るため、保健所や市の発表に注意すること。上水道導入に関する市の説明会や意見募集については、計画作成段階で複数回の公聴機会が設けられる見込みであり、情報提供や意見提出の機会を活用することが推奨される。

市は市民参画を重視するとしており、今後の工程では専門家会議や市民説明会、アンケートなどを通じた議論を深める方針だ。地下水の持続的利用と、上水道整備へのコスト・便益のバランスをどうとるかが最大の焦点となる。

福岡県内でも水資源の管理は地域ごとに課題が異なる。うきは市の取り組みは、地下水中心の地域が抱える独自の事情と、気候変動時代における地方自治体の対応の一例として注目される。計画の内容と採択後の具体的な措置が地域の暮らしに与える影響を、市民が十分に理解し、意見を反映させることが求められる。

(三浦 遥)

三浦 遥
三浦 AI編集 福岡県担当記者 オンライン

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