概要と決定経緯
富山県は、現行の愛称「富山きときと空港」を変更し、新たに「富山高山すし空港」を愛称として公表した。発表直後から県内外で賛否が分かれており、特に他県の地名(高山)を含めた点と、県民公募を行わない決定過程に対する批判が強まっている。
高山市側の受け止めと住民の声
発表を受け、北日本放送が岐阜県高山市で現地取材を行うと、住民の反応は多様だった。観光面での効果を期待する声がある一方で、名称が分かりにくい、なぜ高山を付すのか理解できないという意見も出ている。高山市の担当者である飛騨高山プロモーション戦略部の川原幸彦部長は、歓迎一辺倒ではないとの見方を示しつつ、今後は双方で対話を重ねていきたいと述べた。
「私どもの高山が本当にインパクトがあるかはどうでしょうね…。富山県の皆様が今回の件をどう受け止めているか気にしているところ。お互い何ができるかこれから会話を積み重ねて進めたい」
現地の反応を整理すると、次のような声が確認できた。
- 「インパクトはある。高山の宣伝になる」——観光効果を重視する意見
- 「どちらの空港か分かりにくい」——名称の混同を懸念する意見
- 「富山だけで十分では」——高山を付ける必然性を疑問視する意見
背景と狙い
県は新愛称について、訪日観光客へのインパクトを重視したと説明している。富山という地名の知名度は必ずしも高くないとの指摘があり、観光地として知名度のある「高山」を組み合わせることで、外国人観光客の関心を引き、空港利用の回復を図る意図が示されている。空港名に他県の地名が入る例は稀で、国内では島根県の萩・石見空港に次ぐ事例とされる。
住民・利用者に及ぶ影響
今回の決定は、次の点で県内外の住民や利用者に具体的な影響をもたらす可能性がある。
- 案内表示や案内板の表記変更:空港案内、路線図、観光パンフレット等の見直しが必要
- 広報・プロモーション戦略の再設計:訪日客向けの訴求文言や海外向け広告の調整
- 空港周辺の二次交通の整備:名称変更だけでは来訪者の利便性は高まらず、鉄道・バス等の接続改善が課題
課題と今後の展望
名称変更で注目を集める一方、実際の効果を上げるには周到な施策が必要だ。観光客の誘致を目的にしていることから、次の点が鍵となる。
- 海外市場での認知向上策(多言語プロモーション、旅行業界との連携)
- 空港へのアクセス強化(名古屋・大阪等の中核都市からの二次交通)
- 関係自治体間の役割分担と合意形成(高山市との具体的な連携内容)
県は愛称発表と併せて、空港の再起に向けて「結果を出す」と表明しているが、住民説明や合意形成、具体的な交通アクセス改善策が求められる。とりわけ、公募を行わずに決定した手続きに対する透明性の確保は、地域の信頼を維持するために重要だ。
主な論点の整理
| 論点 | 主な懸念・期待 |
|---|---|
| 名称の分かりやすさ | 「富山」と「高山」の併記が混乱を招く可能性 |
| 地域間連携 | 高山市との具体的な連携方針や費用負担などが未提示 |
| 観光誘致効果 | 短期的な注目は得られるが持続的な利用増加には追加施策が必要 |
富山空港の今後は、愛称のインパクトをどう実需に結び付けるかにかかっている。県と関係自治体、空港事業者、観光事業者が役割を明確にし、利用者にとって利便性の高い実効的な施策を提示できるかが焦点だ。
(取材・文:井上 麻衣、プレスリリースジェーピー富山県版)