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遊休体育館を転用、家畜ふんを炭へ変える実証プラント稼働

沼田市の旧体育館を活用した株式会社TOWINGの製造実証プラントが開所。年1万トン規模の家畜ふんをバイオ炭化し、土壌改良材「宙炭」を試験生産して農業の資源循環と温室効果ガス削減を目指す。

遊休体育館を転用、家畜ふんを炭へ変える実証プラント稼働
©イラスト AI生成 :加藤 美咲/プレスリリースジェーピー

沼田で開始、家畜ふんを高機能バイオ炭へ

株式会社TOWINGは、群馬県沼田市に高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の試験製造を行う製造実証プラントを建設し、2026年7月28日に開所式を実施した。施設は沼田市が保有していた旧体育館(利根農業者トレーニングセンター)を転用しており、北関東の畜産由来未利用資源を活用する拠点として位置付けられている。

宙炭は、TOWINGの前処理技術と微生物培養技術、さらに農研機構の技術を融合した製品で、家畜排せつ物由来の堆肥などを原料に、土壌改良と作物の品質・収量向上を狙う高機能バイオ炭だ。製造実証プラントでは、家畜ふんの炭化と微生物の担持を同一施設で行う垂直統合型の生産工程を採用している。

「関東圏に当社最大の『宙炭』製造実証プラントを建設し、首都圏への供給に近接した体制で普及を加速する」との説明が発表資料にある。

本プラントは、工業炉の加熱技術を持つノリタケ(出資企業)の技術を導入した大規模連続炭化設備を設置しており、バイオマスの入力量は年間1万トンを計画。同規模は国内のバイオ炭製造用炭化設備としてはトップクラスの規模とされ、家畜ふんなど従来加工が難しい原料の炭化に挑む点が特徴だ。

背景と狙い――堆肥の過剰供給と肥料輸入依存への対応

群馬県を含む北関東は畜産が盛んで、家畜ふん由来の堆肥が大量に生じる一方、地域内での需要に比べ供給が過剰になりがちだ。TOWINGは家畜ふん堆肥を炭化することで重量や臭気など従来の課題を低減し、広域利用を可能にする新たな資源循環モデルを目指す。また、国内農業が化学肥料の多くを輸入に依存する現状に対し、国内由来の有機資材を活用することで輸入依存の軽減にもつなげる狙いを掲げる。

地域への影響と実務的なポイント

  • 遊休施設の活用:沼田市が保有していた体育館を製造拠点へ転用することで、公共資産の再活用と地域活性化を図る。
  • 未利用資源の付加価値化:家畜ふんなどの地域バイオマスを原料とするため、畜産農家の廃棄負担軽減や地域での循環利用が期待される。
  • 環境面の貢献:バイオ炭による土壌中への炭素固定や、肥料効率化による温室効果ガス削減への寄与が見込まれる。

実用面では、堆肥の搬出入や処理、製品の流通ルート整備など現場の物流と費用負担が課題となる。TOWINGは関係自治体と連携協定を結んでいるほか、同プラントを通じて現場での運用ノウハウを蓄積するとしている。

プラントの構成とプロジェクトの柱

発表資料は本プロジェクトを五つの柱で説明している。主な要素を下表に整理する。

要旨
1ノリタケの加熱技術を活用した大規模炭化設備の導入(年間入力量1万トン)
2TOWING最大規模の垂直統合型プラント(炭化と微生物培養を一体で実施)
3自治体との連携(2025年11月に環境保全型農業推進で協定締結)
4遊休施設(体育館)の製造拠点への転換
5家畜ふん堆肥の炭化による広域循環モデルの構築

住民・農業者にとっての具体的な利点と留意点

農家にとっては、従来の堆肥より扱いやすい資材として導入されれば、作付け管理や収量・品質改善の可能性がある。特に都市近接の関東圏に供給しやすい立地となるため、流通コストの面でも利点が想定される。一方で、実証段階での効果検証や適用方法の普及、価格設定、輸送や保管時の取り扱いルール整備が不可欠だ。

自治体側は公共施設の活用という観点で地域課題の解決例として評価しているが、周辺住民の受け止めや環境影響のモニタリング、長期的な事業継続性に関する条件整備が求められる。プロジェクトは農林水産省の支援事業の下で進められており、今後の試験生産の結果が普及拡大の鍵になる。

今後のポイントは以下の通りだ。

  • 試験生産の結果で示される土壌改良効果と収量向上の具体データ
  • コスト構造(原料調達・炭化処理・流通)と農家への価格還元の仕組み
  • 地域での受け入れ体制と環境監視の実効性

TOWINGは過去に豊橋、岩手、タイでプラントを整備しており、今回の沼田プラントは国内で首都圏に近い関東エリアに向けた重要拠点となる。今後は試験生産を本格化させ、得られたデータに基づいて製品化と供給体制の拡充を図る方針だ。

地域の農業者や自治体、流通事業者は、実証段階での情報公開や現場連携の動向を注視し、導入の是非や物流面の対応策を検討する必要がある。沼田での取り組みが、北関東の資源循環モデルとして他地域に横展開されるかどうかは、今後の実証結果にかかっている。

加藤 美咲
加藤 AI編集 群馬県担当記者 オンライン

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