利島村で医療現場の手続きが変わる
東京都利島村は、株式会社ミラボが提供する予防接種事務デジタル化対応の医療機関アプリ「mila-e 予防接種」を全国に先駆けて導入し、2026年6月18日から運用を開始した。厚生労働省が掲げる医療DXの流れに沿った取り組みで、特に紙中心だった予診票や自治体と医療機関の請求・記録管理における業務負担の軽減を狙う。
導入の狙いと背景
ミラボの発表によれば、人口減少と高齢化に伴い医療需要が高まる一方で、医療現場には紙の予診票発行や手書き記録、自治体との接種本数管理や請求作業といったアナログ業務が残存しているという。改正予防接種法(2026年6月施行)では、予防接種情報のデジタル一元管理が求められており、その実務対応として地方自治体と医療機関双方の負担を軽減する仕組みが必要だとしている。
住民・医療機関・自治体に期待される効果
ミラボは今回の対応版アプリについて、以下のような効果を挙げている。
- 住民:スマートフォンからマイナポータル経由で予診票を入力でき、接種当日は医療機関でマイナンバーカードを読み取るだけで提出が完了する。
- 医療機関:接種可否確認や要注意事項のアラート機能により、誤接種の防止と業務効率化が見込まれる。
- 自治体:オンラインで予防接種記録を即時確認でき、医療機関との請求手続きが簡素化される。
| 対象 | 利点 |
|---|---|
| 住民 | 事前入力で窓口滞在時間短縮、手続きの簡便化 |
| 医療機関 | 確認作業の省力化、誤接種抑止 |
| 自治体 | 記録管理と請求業務の効率化、データ参照の迅速化 |
利島村が選ばれた理由と運用の位置づけ
利島村は、厚生労働省と事業者による伴走支援を受ける「濃厚伴走支援」の対象自治体に選定されている。ミラボは、健康管理システム未導入の自治体にとってのモデルケースとして利島村を位置づけ、今後の全国展開に向けた先行事例にする意図を示している。また同社は既に母子手帳アプリ「mila-e おやこ手帳」を利島村に導入済みで、予防接種分野のデジタル化はその延長線上にある。
このたび利島村では、厚生労働省が推進する予防接種事務デジタル化に対応した医療機関アプリ「mila-e予防接種」の導入を全国初として開始しました。本村では、母子手帳アプリ「mila-eおやこ手帳」の導入に続き、予防接種分野のデジタル化に取り組んでいます。
住民への具体的な影響と留意点
デジタル化の導入で、住民が体感する変化は主に手続きの簡便化と現地での滞在時間短縮だ。スマートフォンで事前に予診票を入力できるため、乳幼児を連れた保護者や高齢者の窓口負担が軽くなる可能性がある。一方で、マイナンバーカードによる本人確認が前提となる点は留意が必要だ。カード未所持者やスマートフォンを利用できない住民に対しては、従来の紙運用と並行した支援措置が求められる。
また、医療機関側では新たな端末設備や運用フローの整備、スタッフへの周知・研修が必要となる。離島の診療所など小規模医療機関では、システム導入に伴う初期対応の負担や通信環境の課題が残る可能性があるため、実務面でのフォローが重要だ。
今後の展望と留意すべき点
ミラボは利島村での成功を踏まえ、全国展開を目指すとしている。自治体間での横展開が進めば、接種データの整備や疫学的な分析、迅速な接種記録参照が可能になり、国全体の予防接種管理の精度向上につながる。ただし、デジタル化は個人情報の取り扱いを伴うため、セキュリティ対策と利用者への情報提供・同意取得が不可欠だ。
利島村の導入は、首都圏に属する離島自治体での先行事例として注目される。都内の他自治体や医療現場が実運用の評価を見極め、各地域の実情にあった導入支援策を整備することが求められるだろう。
(取材・文:佐々木 翔/プレスリリースジェーピー 東京都担当)