デジタル時代の子どもをどう守るか
7月6日、東京都庁で開かれた「第17回こども未来会議」は、テーマを「子供とSNS等との関わり合いについて」とし、都知事や委員らが出席して意見交換を行った。会議は、SNSや生成AI(いわゆる“AIチャット”等)が子どもたちの日常に浸透する中で、心の健康や成長にどのような影響を及ぼしているかを議論する場となった。
冒頭で小池百合子都知事は、SNSが子どものメンタルヘルスに与える影響への懸念や、ジェネレーティブAIの急速な普及による社会構造の変化に言及し、デジタル社会における子どもたちの在り方を社会全体で考える必要性を強調した。
「子どもたちの生活にも、既に生成AIが急速に浸透しています。デジタル社会の子どもと未来について…社会全体で考えていく必要があります」
また、事務局からは都が行った調査報告が示され、「子どものスマートフォン所有率」「主な利用目的」「SNS利用状況」「学習時の生成AI利用」といった項目についてのデータが提示された。これを受けて、国立・神経医療センター 行動医学研究部の成田瑞室長が「デジタル社会の子どもと未来~メンタルヘルスの観点から~」と題したプレゼンテーションを行い、海外を含む若年層の心理的問題の増加を指摘した。
成田氏は、特に女子に心理的症状が増加している点を挙げ、日本では若年層の自殺者数が増加傾向にあり、女子の割合が目立っているとの調査結果に触れた。その上で、インターネットやSNSの影響を無視できないとの見解を示し、メンタルヘルス対策の重要性を訴えた。
保護者・学校・行政に求められる対応
会議では、現場や家庭における対応の困難さも議題に上った。委員からは「親が何をすべきかという知識がなさすぎる」との指摘があったほか、デジタルリテラシー教育や専門家による支援体制の整備を求める声が出た。AI利用が学習や悩み相談の手段として利用される現状を踏まえ、単に技術を規制するだけでなく、利点を活かしつつリスクを軽減する方策が必要とされた。
- 保護者向けの情報提供と相談窓口の強化
- 学校現場でのデジタルリテラシー教育の充実
- 医療・心理支援と連携した早期発見の仕組み作り
参加した委員や専門家の間では、単独の対策では限界があるとの認識が共有された。技術進展の速さを踏まえ、行政や教育機関、医療機関、保護者が連携して柔軟に対応する枠組み作りが求められる。
提示された調査項目と今後の課題
会議で報告された調査は、子どものデバイス利用実態やSNS・AIの利用状況を把握することを目的としており、今後の施策立案の基礎資料となる。提示された項目は以下の通りだ。
| 調査項目 | 目的 |
|---|---|
| 子どものスマートフォン所有率 | 普及状況の把握 |
| スマートフォンの主な利用目的 | 利用実態の分析 |
| SNS利用状況 | リスクと利用傾向の把握 |
| 学習時の生成AI利用 | 教育現場での活用と課題抽出 |
しかし、こうした調査だけでは個々の家庭や学校が直面する具体的問題の全容は見えにくい。たとえば、被害や心の不調が生じた際の相談窓口の周知不足、学校現場での対応能力の差、保護者が情報を適切に取捨選択できないといった実務面の課題が残る。
都は今後、調査結果を踏まえた政策提案や支援策を検討するとみられるが、会議の議論は、単なるデータ収集にとどまらない実践的な施策設計の必要性を示した。保護者や教育関係者は、報告書や今後の施策を注視する必要がある。
今回の会議は、デジタル技術が子どもたちの日常に深く入り込む中で、公的機関が果たすべき役割を改めて問い直す契機となった。都内の教育現場や子育て家庭にとって、どのような支援が届くかが当面の関心事だ。
(取材・文:佐々木 翔/プレスリリースジェーピー 東京都担当記者)