職場の暑さ管理に資する少額支援、申請はオンラインで
東京都は、職場における熱中症予防対策に取り組む都内の小規模企業等を対象とした『職場環境づくり奨励金』の第3回事前エントリーを令和8年8月24日(月)~8月28日(金)に受け付けると発表した。支給額は1社あたり20万円で、年間で合計1,000社を対象とする計画のうち、第3回では300社が対象となる。
申請は国が提供する電子申請システム「Jグランツ」を通じて行われる。対象となる事業者は本社または主たる事業所が東京都内にある小規模企業等で、作業環境がWBGT値28度以上または気温31度以上となる場所で、継続して1時間以上、または1日あたり4時間を超える作業が見込まれるなど、熱中症が生じるおそれがある業務を行っていることなど、募集要項に定める要件を満たす必要がある。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 20万円(1社あたり) |
| 募集規模(年間) | 1,000社 |
| 第3回対象数 | 300社 |
| 事前エントリー期間 | 令和8年8月24日~8月28日 |
制度の中身と対象となる取り組み
奨励金の対象となる取り組みは、厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」に沿った実施を基本とする。具体的には以下のような活動が想定されている。
- WBGT値(暑さ指数)の活用による作業条件の評価
- 作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育の実施
- 熱中症予防に資する物品の購入
- 上記に関する報告の提出
事業の実施期間は、令和8年3月5日以降に行った取り組みが対象とされる点に注意が必要だ。募集要項にはそのほかにも要件が明記されているため、申請を検討する事業者は東京しごと財団のウェブサイトで詳細を確認することが求められる。
背景と期待される効果
猛暑の頻度と強度が高まる中、建設業や配送、製造現場など屋外・屋内を問わず高温下での作業が増え、熱中症リスクは労働安全の重要課題となっている。都が導入する奨励金は直接的な金銭支援としては1社あたりの額は限定的だが、対策実施のハードルを下げ、取り組みの促進を狙う施策だ。
支援対象に「WBGT値や気温に基づく明確な基準」を置いた点は、科学的な評価に基づく対策を促す設計になっている。これにより、単に扇風機を増やすといった場当たり的な対応ではなく、作業計画の変更や休憩・水分補給のルール整備、職場での計測体制の導入といった恒常的な管理改善につながる可能性がある。
課題と留意点
一方で、制度にはいくつか留意すべき点がある。まず対象が「小規模企業等」に限定され、申請は事前エントリー制かつ定員制であるため、実際に必要とする全ての事業者に行き渡るかは不確実だ。募集数を超えた場合は抽選となるため、先着ではなく抽選での選定となれば、対策を急ぐ事業者には不安が残る。
また、支給金額が設備購入や恒常的な管理体制の整備に十分かどうかも検討課題だ。例えばWBGT測定器や環境改善機器の導入、従業員教育の継続には初期コストと運用コストがかかる。奨励金をきっかけに対策を始めた場合、その後のフォローアップや効果検証が重要になる。
申請手続きが電子申請システムを介する点も中小事業者にとっては支援の分かれ目となる。Jグランツによる申請は利便性を高める一方で、IT環境や入力作業の負担を抱える事業者には別途サポートが求められる。
制度活用のポイント
制度を有効に活用するため、事業者は次の点を押さえておくとよい。
- 募集要項に定められた対象条件(WBGT値・作業時間等)を事前に確認すること
- 令和8年3月5日以降に行った取り組みが対象であるため、実施日や記録を整備しておくこと
- 奨励金の使途は物品購入だけでなく、作業管理や教育にも充てられる点を検討すること
詳細や申請方法については、東京しごと財団の公式案内を確認することが案内されている。暑さ対策は一時的な対応ではなく、労働安全衛生の基本的な管理として定着させる必要がある。都の奨励金はそのための導入支援としての役割を担うが、持続的な取り組みと公的支援の継続が重要だ。
(清水 葵)