飼育員とキリン、信頼築き公開へ慎重な対応
とくしま動物園(徳島市)で飼育されているアミメキリンの雄「はっさく」(7歳、身長約5メートル、体重約1トン)が、飼育員とのトレーニングで徐々に屋外に出るようになってきた。しかし、来園者が間近で見られる展示場での公開時期はまだ決まっていない。飼育現場では動物福祉(アニマルウェルフェア)を最優先し、急がず慎重に対応する姿勢が示されている。
はっさくは2024年3月、繁殖を目的とした貸与契約(ブリーディングローン)で広島県の福山市立動物園から来園。来園当初は警戒心が強く寝室に閉じこもることが多かったが、日々の名前呼びや餌によるポジティブリインフォースメント(好ましい行動に報酬を与える方法)を続けることで、来園から約2か月後に寝室の外へ一歩踏み出した。
同園には繁殖を目的に多摩動物公園(東京都)から仲間の雌「アリス」(4歳)も加わっている。アリスは物音にあまり動じない性格で、はっさくにとって良い刺激になっているという。飼育担当の兒島健一さん(46)は、日々のトレーニングの一環として軽トラックや重機を飼育舎周辺で動かし、園内の様々な音に慣らす取り組みを続けていると説明している。
「はっさくとアリスの命が一番大事。ゆっくりやっていきたい」
來園者への直接公開を急ぐと、動物が過度のストレスを受ける恐れがあり、最悪の場合は転倒などにより命に関わる事故につながることもあり得る。こうした理由から、同園は国際的にも重要視されている動物福祉の観点を踏まえ、所属する団体の規程に基づいて慎重に対応している。
住民・来園者への影響と今後の見通し
今回の対応は、来園を予定している住民や観光客にとって以下の点で影響がある。
- 当面はキリンを間近で見られる展示が行われない可能性がある。展示公開を期待して訪れる場合は事前に園の発表を確認する必要がある。
- 公開が実現すれば、家族連れや学校の校外学習など、動物園の集客に寄与する可能性がある一方で、混雑対策や動物への配慮が課題となる。
- 飼育や繁殖に関する取り組みは地域の教育資源として活用できるため、将来的な連携や学習機会の創出が期待される。
とくしま動物園は日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟しており、同協会の規程では飼育者が動物福祉の向上に取り組む責務を定めている。今回の慎重な判断はその方針と整合しており、飼育員による段階的な慣らしと健康管理が続く見込みだ。
来園前の確認事項と園からの案内の見方
今後、展示の可否や公開時期については園の公式発表で伝えられる。来園を計画する住民や観光客は次の点を確認してほしい。
- とくしま動物園の公式ウェブサイトやSNS、電話案内で最新情報をチェックすること。
- 公開が決定した場合でも、混雑緩和や動物への影響を抑えるため入場制限や観覧方法の変更が行われる可能性がある。
- 学校等の団体で見学を希望する場合は事前に園へ相談し、指示に従うこと。
飼育員は「その日できたことが、次の日にはできなくなることもあった」と振り返るなど、個体差ある対応の難しさを説明している。園側は今後も個体の性格や健康を優先し、適切なタイミングで公開できるかどうかを判断するとしている。
地域にとってキリンの展示は家族連れの楽しみであると同時に、動物福祉や飼育の在り方を考える教育的機会にもなる。公開の可否や時期について、住民は園の発表を注視するとともに、動物の安全・健康を守る観点からの理解が求められる。