県の課題に対応する組織改善へ外部の知見を導入
徳島県は、職員一人ひとりの職務への関与度や組織の状態を把握し、改善策を講じるため、株式会社リンクアンドモチベーション(本社・東京都)に対し、令和8年度 職員のエンゲージメント向上に関する調査・改善支援等業務を委託したと発表した。県の説明によれば、本業務は全庁を対象にした調査の実施と、分析に基づくフォローアップ施策の支援を含むという。
同社が提供するクラウドサービス「モチベーションクラウド エンゲージメント」を用いて、職員の意識や組織課題を可視化し、優先順位の設定や自律的なPDCAサイクルの構築を図る。PR資料では同サービスが国内大規模のデータベース(延べ14,130社・約648万人)を保有するとしており、自治体向けの知見も蓄積されている点を導入理由に挙げている。
導入の背景と県が狙う効果
導入の背景には、少子高齢化や人口減少による行政サービス需要の変化、限られた人員・財源の中での政策遂行の困難さがある。県は「県民目線・現場主義」に基づく施策実行と、部局横断での成果創出を掲げており、職員の主体性向上や組織横断的な協力促進を通じて、質の高い県民サービスの維持・向上を図る狙いだ。
また、採用市場の変化や公務員離れを背景とした人材確保・定着の課題も明確化している。リンクアンドモチベーション側は、エンゲージメントが高い組織ほど休退職率が低い傾向があるとの自社調査結果を示しており、職員定着や生産性向上につながる可能性を指摘している。
株式会社リンクアンドモチベーションは、徳島県の「令和8年度職員のエンゲージメント向上に関する調査・改善支援等業務」を受託したことをお知らせいたします。
試行結果を踏まえた全庁展開
県は昨年度、一部部署を対象にトライアル(エンゲージメントサーベイ)を実施した。結果は、職場内の人間関係や上司の支援的関わりが相対的に強みとして確認された一方、組織運営の基盤面や働く環境に改善の余地がある点も明らかになったという。今回の契約はこうした試行の成果を全庁へ広げ、具体的な改善策の実行支援までを含める点に特徴がある。
住民にとっての影響と留意点
この取り組みは直接的には職員向けの組織改善策だが、間接的に県民サービスの質に影響を及ぼす。具体的には以下のような点が想定される。
- サービスの安定化:離職率や休職率の低下が図られれば、専門性や経験の継承が進み、行政サービスの継続性・質の向上につながる。
- 業務効率の改善:組織の課題が整理され、優先課題に資源を集中できれば、限られた人員での業務遂行力が高まる可能性がある。
- 住民対応の改善:現場主義を掲げる県方針と連動し、現場の声を反映した施策設計や窓口対応が改善されれば、住民の利便性向上につながる。
一方で留意点もある。外部サービス導入では、個人情報や調査データの取り扱い、匿名性の担保、調査結果をどう政策に反映させるかといった点が問われる。県は全庁展開に際して、これらの取り扱い基準やフォローアップの具体策を明確にしていく必要がある。
サービスの概要と導入実績
導入する「モチベーションクラウド エンゲージメント」は、国内で大規模なデータベースを持ち、企業や自治体向けに組織状態の可視化とアクションプランの提供を行うクラウドサービスだ。PR資料の数値を整理すると次の通りである。
| 指標 | PR資料の数値 |
|---|---|
| 導入実績(企業等) | 延べ14,130社 |
| ユーザー規模(延べ) | 約648万人(2026年3月末時点) |
| 自治体向けデータ | 職員10万人以上のデータ蓄積 |
同社の行政支援実績は、今回の受託で9府県庁を含む計26組織となるとしている。県はこれらの外部知見を活用し、組織課題の優先順位付けや改善策の実行を進める計画だ。
今後のスケジュールと期待されるアウトプット
公表資料には、具体的な調査時期や各部局へのフィードバックスケジュールの詳細は明記されていないが、県は全庁での活用を通じて調査・分析に基づくフォローアップ施策を支援することを示している。住民にとっては、今回の取り組みが実務面の改善につながるかどうかが最大の関心事となる。
県が進める「選ばれる徳島県」づくりの一環として、職員の働きがいや組織運営の基盤強化は重要な柱だ。今後は調査の透明性確保、結果の公開範囲や改善施策の実効性を注視する必要がある。