猛暑対策で大型日よけを全園に展開
愛知県東海市の市立保育園に、この春、園庭の半分ほどを覆う大型の日よけが導入された。展開時にハンドルを回す仕組みで、設置された日よけは縦12メートル、横38メートルの規模。市は今年度中に市内の市立保育園16園すべてへの設置を完了させる方針を示している。
導入の背景には近年の猛暑頻発がある。取材した保育園では、直射日光の当たる場所で午前中に手元の温度計で約38℃を観測した一方、日よけの下では約32℃となり、屋外での活動が可能となる効果が確認された。昨年は猛暑のため、園児が屋外遊びをほとんどできなかった実情があり、今回の対策は子どもたちの生活に直接影響する有効策として受け止められている。
「今この日陰の中だと、“厳重警戒”はもちろん出ないので」
市立東山保育園の平松好美園長は導入の効果についてこう述べ、外遊びの機会が増えることへの期待を示した。
導入の狙いと現場の負担軽減
東海市幼児保育課は、保育士の作業負担軽減も導入の重要な目的に挙げている。従来は市販の遮光ネットを職員が脚立に登って固定するなど、設置・撤去に人手と時間を要していた。今回の大型日よけはハンドル操作で比較的容易に展開・収納が可能な構造で、保育士の体力的負担を軽くすることを狙う。
幼児保育課の千田直子課長は、保育士不足が深刻な課題である点に触れ、「現場の保育士さんの作業負担を減らして、子どもたちが元気に外で遊ぶことによって、より健やかに育っていける環境づくりで取り組みを始めた」と説明している。
費用と導入の経緯、他自治体からの関心
今回のモデル園に設置した大型日よけの費用は、報道によれば約1300万円。東海市は3年ほど前から導入準備を進めてきたとされる。公立保育園でこの規模の日よけを導入する例は全国的にも珍しいという。
設置効果や管理のしやすさを見て、県外の自治体からも問い合わせが相次いでいる。南知多町の担当者が視察に訪れており、同町では町立保育所が手作りの日よけで暑さをしのいでいる状況だが、東海市の取り組みを参考に来年度から本格的な導入作業を検討したいとしている。
保護者・保育現場への影響と留意点
今回の措置は、主に次のような効果が期待される。
- 熱中症リスクの低減:直射日光を遮ることで、園庭の気温上昇を抑えられる
- 外遊びの機会増加:猛暑日でも日陰での活動が可能になり、運動や友達との交流の場が確保される
- 保育士の負担軽減:設置・撤去が容易な仕組みで作業時間と危険作業を減らす
一方で、導入にあたっては点検や安全管理、風対策が課題となる。報道でも台風時の対応に関する過去の手作り対策の煩雑さが指摘されており、大型のシート類は強風時に危険があるため、定期点検や撤去手順の明確化、防錆・固定部材のチェック、周辺の落下物対策など運用面の整備が欠かせない。保育現場は安全基準に基づく運用マニュアルの整備を進める必要がある。
導入スケジュールと住民への周知
東海市は既に3園で導入を完了しており、残る園について順次施工を進める計画だ。年度内に16園全てに行き渡らせるとしており、今夏の本格的な暑さが到来する前に整備を終える意向だ。市は保護者向けに使用時の注意事項や、天候に応じた外遊びの判断基準を周知すると見られる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日よけサイズ | 縦12m × 横38m |
| 費用(報道値) | 約1300万円 |
| 対象 | 東海市立保育園 16園(今年度中に全園導入予定) |
保育現場の安全を優先しつつ、外遊びの機会を確保する取り組みは、子育て世代にとって直接的な利便性の向上を意味する。今後は運用ルールの徹底や点検体制の強化、保育士への安全教育が重要となる。県内外の自治体からの注目も集めており、東海市の取り組みが他自治体のモデルケースとなる可能性がある。
(池田 修・プレスリリースジェーピー愛知県担当記者)