地域の空き家を改修、猫と過ごす短時間デイを開設
大分県竹田市玉来にこの夏、通所介護施設「ねこたまデイサービス」が開所した。運営は地元に戻った夫婦が担い、保護経緯のある2匹の猫を受け入れて利用者が動物と触れ合える形式を採る。施設は空き家を改修して整えられ、地域の介護サービスの選択肢を増やす狙いがある。
代表を務めるのはケアマネジャーとしての職歴がある菅康子さん(49)。夫の学さん(50)は以前はサラリーマンとして働き、二人で竹田に戻って事業を始めた。準備段階では宮崎県内の同種の施設を見学するなど、利用者と動物の両方に配慮した運営を心がけてきたという。
施設にいる猫は保護猫としてそれぞれの家庭から譲り受けた2匹で、名前はたまとらい。兄弟で、今年5月生まれという。関係者は猫たちの性格について人に寄っていく点を指摘し、以前の飼い主が愛情を持って育てていたことが伝わると話している。
利用対象と提供時間、設備
対象は要介護1から5までの認定を受けた人。1日のプログラムは午前と午後の二部制で、それぞれ約3時間の枠を設けている。運営はスタッフ4人で、施設内での軽食や入浴のサービスを含めて過ごすほか、商業施設での買い物を楽しむ機会も提供するという。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | ねこたまデイサービス |
| 所在地(市) | 竹田市玉来 |
| 利用対象 | 要介護1~5の認定者 |
| 時間 | 午前(9時開始)/午後(13時10分開始) 各約3時間 |
| 定員 | 各回10人 |
| スタッフ人数 | 4人 |
| 猫の数 | 2匹(たま・らい) |
利用者の反応と地域との関わり
開所後のある午前の回には3人が参加し、猫が利用者の足元をすり抜けたり膝の上でくつろいだりする様子が見られた。利用者の一人は猫との接触で安らぎを感じていると話している。運営側は、動物と過ごす時間が利用者の居心地や外出意欲を高めるきっかけになっていると説明する。
「利用者がもっと居たいと思うきっかけをつくってくれている。中学生や地域の方が訪れることもある。地域に開かれた施設にしたい」
この発言は運営する夫婦の意向を示し、地域住民が日常的に立ち寄れる拠点を目指す考えがうかがえる。地域との接点を重視することで孤立防止や世代間交流の促進も見込める。
背景:地域の介護サービス不足と空き家対策
代表らが事業を立ち上げた動機には、同市で続く介護事業所の休止や廃止がある。若手や担い手不足、利用ニーズの変化などが影響しているとみられ、地域住民にとって通所介護サービスの選択肢が減る事態は生活の質に直結する。こうした状況の中で、空き家を活用した事業展開は資源の再活用と地域サービス維持の両面で注目される。
- 空き家を改修して開所した点は、地域資源の有効活用に資すると期待される。
- 動物ふれあいを主軸にした通所介護は心理的な安定や交流機会を提供する可能性がある。
- 利用定員は各回10人、スタッフ4人で運営され、短時間での利用が想定されている。
住民への実用情報と今後の見通し
利用を検討する場合は、要介護認定が必要である点に注意が必要だ。申し込みや空き状況、送迎の有無、費用負担(公的介護保険の適用範囲など)については事前確認が必要だが、現時点での事業形態は通所介護(デイサービス)に準じた運営と理解される。施設側は地域に開かれた拠点とする意向を示しており、中学生や住民の訪問も受け入れているため、介護予防や交流プログラムの展開が期待される。
一方で、動物を取り入れたサービスにはアレルギーや衛生管理、猫のストレス対策など配慮すべき点がある。運営側がどのような感染対策や動物福祉の基準を設けているか、関係機関との連携状況も注視される。利用者や家族、地域住民にとって安全で継続可能な形で根付くかが、今後の重要な評価軸になるだろう。
竹田市のような人口減少や高齢化が進む地域では、地域内でのサービス確保と住民の生活支援を両立させる仕組み作りが急務だ。今回の「ねこたまデイサービス」はその一例として、地域資源を活用した新たなケアモデルの可能性を示している。利用希望や見学を希望する住民は、事前に問い合わせて受け入れ条件やスケジュールを確認することが望ましい。
(記者:松田 理恵)