背景と狙い
来年4月から始まる在留外国人向けの新たな制度「育成就労制度」を控え、大分県は県内で暮らす外国人の生活支援を強化している。新制度では、一定の条件下で働く場所を変える「転籍」が認められるため、地方から都市部への人材流出が懸念される。県は相談体制の充実や地域での生活支援を通じ、県内定住を促す考えだ。
現状の数字と地域への示唆
県の発表によると、今年6月末時点で県内在住の在留外国人は2万3,878人で、2022年6月以降、過去最多を更新し続けている。特に介護など専門性のある「特定技能」は増加が顕著で、約5年前の約15倍にあたる3,865人に達している。これらの数値は、地域の労働力における外国人の存在感が増していることを示す。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 在留外国人数(6月末時点) | 23,878人 |
| 特定技能の在留者 | 3,865人 |
| 各市窓口の相談件数(昨年度) | 1,614件 |
県の具体的な取り組み
県は複数の施策で支援の手を広げている。別府市で行われたマナー研修では、ごみの分別や交通ルールの解説が行われ、参加者がおのおの生活習慣の違いを学ぶ機会となった。研修を企画したのは、県の委託を受けたNPO法人「マックネットシステム」。同法人や市、県職員が講師を務め、実務に即した生活支援を提供している。
- 生活マナー研修(ごみ分別、交通ルールなど)
- 相談窓口の設置・強化(宇佐、中津、豊後高田、竹田の4市など)
- 外国人共生コーディネーターの配置(地域おこし協力隊として5人任用)
相談窓口とコーディネーターの役割
昨年度、県と4市が設置する窓口に寄せられた相談は計1,614件に上り、在留資格や日本語習得に関する相談が大半を占めた。一方で「ごみ出しのルールを守らない」といった地域住民からの相談もみられている。こうした課題に対応するため、県は「外国人共生コーディネーター」5人を地域おこし協力隊員として任用。日本語と英語を含む3か国語以上で日常会話ができる外国籍の男女4人と日本人男性1人を中部を除く各振興局に配置し、生活上の相談に応じる体制を整えた。
「安心して暮らせるように支援するメニューを用意している。気軽に活用し、大分に愛着を持ってもらいたい」
県国際政策課の難波一尚主幹はこのように述べ、支援メニューの活用を呼び掛けている。
住民への影響と留意点
在留外国人の増加は、地域の人手不足解消に資する一方で、地域社会との共生には継続的な取り組みが必要だ。生活習慣や言語の違いから誤解や摩擦が生じるケースがあり、行政やNPOによる教育支援だけでなく、地域住民の理解と受け入れの姿勢が不可欠となる。年々増える特定技能の在留者は、介護や建設など現場での実務力を提供しているため、雇用環境の整備や職場での受け入れ体制も重要だ。
また、新制度で転籍が認められることで、働き手がより良い条件を求め都市部へ流出する懸念がある。県や市町村は、住環境や家族支援、通学・医療アクセスなど多角的な視点で定住を促す施策を検討・強化する必要がある。
今後の見通しと利用案内
来年4月の育成就労制度開始を控え、県は相談体制の拡充や地域での啓発活動を通じて、在留外国人が安心して暮らせる環境づくりを進める。生活上の疑問や相談がある場合は、各市町村の窓口や配置された外国人共生コーディネーターに相談することが推奨される。県は今後も支援メニューの周知を図り、地域での受け入れを後押ししていく方針だ。