築年数と住民の高齢化が重なる「二つの老い」
大分県内、特に大分市では分譲マンションの築年数の上昇と住民の高齢化が同時進行し、管理の継続に関する課題が顕在化しています。県マンション管理組合連合会の藤田正道理事長は、県内で築年数が30年を超えるマンションが「250棟を超えてきている」と指摘しています。大分市の分譲マンションに関しては、築40年以上が79棟、30年以上40年未満が165棟で、合算すると築30年以上が全体の43%に達します。
建物の老朽化は外壁の剥離など安全面のリスクを高める一方、所有者の高齢化は管理組合の運営や集会での意思決定に影響を及ぼします。集会への出席が減れば、修繕や大規模な工事に必要な合意形成が難しくなり、適切なメンテナンスが滞る恐れがあります。
4月施行の改正法で何が変わったか
こうした状況を踏まえ、今年4月にマンション関連の改正法が施行され、共用部分の大きな変更などを決める際の集会での決議要件が見直されました。改正前は全ての所有者を母数として賛成比率を算定していたため、集会不参加の所有者が多いと必要な賛成数に届かず、決議が否決になるケースがありました。改正後は、集会の出席者を母数とする運用に改められ、書面や委任状で議決権を行使した人も出席者に含まれることになりました。
藤田正道理事長「長期の修繕計画の見直しや建物の自主点検、自分の死後、誰が相続するのか、または売却するのか、話し合っておくことが必要だ」
この改正は、集会に参加しない所有者が増えて決議が進まない事態を受けて、意思決定を円滑化することを目的としています。ただし、制度変更が即座に管理実務の改善につながるわけではなく、各マンションの実情に応じた運用と住民間の合意形成が不可欠です。
住民・管理組合が直面する具体的な課題
- 経年による外装・設備の劣化と大規模修繕の資金確保
- 高齢化に伴う集会参加者減少と意思決定の停滞
- 相続や所有者の所在不明による議決権行使の困難
管理を担う人手が不足すれば、共用部分の点検頻度が減り、早期に対処可能だった劣化が深刻化するリスクがあります。結果として修繕費用の増大や住環境の悪化、場合によっては安全性の問題に発展しかねません。
地域住民への助言と自治体の役割
専門家や関係団体は、今後の対応策として以下を示しています。
- 長期修繕計画の定期的な見直しと資金計画の透明化
- 自主点検の実施と記録の保管
- 所有者間で相続や売却時の対応を事前に話し合う
自治体や関係団体によるセミナーや相談窓口の活用も重要です。今回、大分市で開かれた「おおいたマンション管理セミナー」は県や市が主催し、所有者や住民が集まり、管理の課題や改正法の説明が行われました。自治体側が情報提供や助言を行うことは、管理組合の負担軽減と意思決定の円滑化に寄与します。
住民が今すぐできること
個々の所有者にもできる対応があります。まず自宅の修繕履歴や管理規約、長期修繕計画を確認し、周囲の住民と共有することが求められます。相続人や家族と所有権の扱いを話し合い、書面で意向を残すことも有効です。集会に出席できない場合は、書面や委任状で議決権を行使する方法も改正法で有効とされているため、活用を検討してください。
マンションの安全と資産価値を守るためには、制度の理解と日常的な管理の積み重ねが欠かせません。大分の集合住宅が抱える課題は一朝一夕に解決するものではありませんが、住民・管理組合・行政が連携して準備を進めることが肝要です。