一人暮らし高齢者の搬送拒否めぐり市を提訴
高松市の女性(68)が、同乗者がいないことを理由に救急搬送を拒否されたとして23日、高松地裁に市を相手取り約45万円の損害賠償を求める訴えを起こした。原告によると、女性は2024年12月に自宅で腹痛や嘔吐が続き、知人に119番を依頼。到着した救急隊員は「同乗者がいない」として搬送せずに撤収したという。
その後、女性は知人を自宅に呼び直して再度119番し、搬送を受けた。病院では小腸イレウスと診断され、4日間の入院をしたとされる。原告は緊急性があったにもかかわらず搬送を断られたことで精神的苦痛を受けたとしている。
弁護士の主張と市の対応
提訴後に行われた市内での記者会見で、原告側の弁護士は救急車の役割を強調し、搬送拒否が「命に直結する」と主張した。
「救急車は自ら病院に行くことができない市民の重要なセーフティーネットだ。不当な搬送拒否は命に直結する」
大西秀人市長は22日の定例記者会見で、訴状等が届き次第、適切に対応する考えを示したとされる。市の具体的な現場対応や指針の内容については、訴状の到着と今後の手続きに伴い公表される見込みだ。
住民への影響と地域課題
今回の事案は、高松市内に限らず一人暮らしの高齢者や、支援者がすぐに確保できない状況にある市民にとって重大な懸念を示している。搬送の可否判断が現場でどのように行われているか、またその判断基準が明確に市民に示されているかが問われる。
- 一人暮らし高齢者の119利用に対する不安の増大
- 救急対応時の同乗要件や安全確保の運用ルールの透明性不足
- 搬送可否の判断基準が自治体や消防本部で統一されているかどうか
救急搬送は迅速な医療介入に直結するため、搬送の可否が救命率や重症化リスクに影響する可能性がある。市内の高齢人口の割合や単身世帯の増加を踏まえれば、同様の事案が再発するリスクがあると指摘される。
住民が知っておくべき実用情報
今回の訴訟を受け、住民が日常で留意すべき点を整理する。
- 119番通報時は、症状の具体的な状況(意識レベル、呼吸、出血の有無等)をできるだけ明確に伝えること。
- 一人暮らしで日常的に不安がある人は、家族や近隣の連絡先を事前に整理し、緊急時に対応可能な知人を確保しておく。今回の事案のように、知人が同乗して搬送を受けるケースが想定されるため、協力者の確保は重要だ。
- 市や消防が今後、公表するガイドラインや対応方針に注意を払うこと。訴訟の結果に応じて運用が見直される可能性がある。
経緯を示す表
| 日付 | 事象 |
|---|---|
| 2024年12月 | 原告が自宅で腹痛・嘔吐。知人に119番を依頼。到着した救急隊に同乗者がおらず搬送を断られる。 |
| 2024年12月(その後) | 知人を呼んで再度119番、搬送され小腸イレウスと診断、4日間入院。 |
| 2026年7月23日 | 原告が高松市を相手取り約45万円の損害賠償を求めて高松地裁へ提訴。 |
| 2026年7月22日 | 大西市長が定例記者会見で、訴状等受領後に適切に対応すると発言。 |
今回の訴訟は現場の対応実態とルールの在り方を見直す契機になり得る。住民の生命と安全を守る観点から、搬送判断の基準や救急体制の説明責任が自治体に求められている。今後、訴訟の進行や市の対応方針の公表を注視していく必要がある。
(藤井 一郎、プレスリリースジェーピー香川支局)