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地形が支えた讃岐うどん──地質学で読み解く“おいしさ”の由来

香川大学名誉教授が高松で講演し、扇状地や伏流水、瀬戸内の潮流など地質的要因が讃岐うどんの原材料・製法・流通に与えた影響を示した。ジオガストロノミーやジオパーク構想と結びつく地域振興の可能性も示唆された。

地形が支えた讃岐うどん──地質学で読み解く“おいしさ”の由来
©イラスト AI生成 :藤井 一郎/プレスリリースジェーピー

地形と食が結ぶ地域資源

10月25日、高松市仏生山交流センターで開かれた「讃岐のジオとうどん~大地の成り立ちから見た讃岐うどん~」講演会では、香川大学名誉教授の長谷川修一氏が、香川県の地質や地形が讃岐うどんの発展に果たした役割を解説した。扇状地や伏流水、瀬戸内海の地形的特徴が、小麦栽培、塩づくり、だしの原料であるイリコ(煮干し)漁場の形成にどう影響したかを具体的に示した点が注目された。

講演は、1984年に設立された「さぬきうどん研究会」が主催。長谷川氏は、うどん店の分布を示すマップを契機に、なぜ香川県の中讃地域や高松付近に店が集中するのかという疑問から研究を進めてきたと語った。香川の地形が食文化に長期的な影響を及ぼしているという視点は、従来の気候風土論に比べて根源的な説明を与える試みである。

「地域に住む人々の活動は自然環境によりコントロールされるものであり、文化が起こり持続するのは、大地による要因に由来するから。」

講演で示された主な論点

  • 扇状地の形成:丸亀平野などの緩やかな傾斜と土器川の流れが小麦栽培に適した土地を作り、うどん用小麦の供給が安定した。
  • 伏流水と製麺:伏流水が豊富で良質な仕込み水を確保できることが、麺の風味や食感に寄与している可能性。
  • 瀬戸内の地形と塩・だし素材:島の配置や潮流の違いが、塩田に適する砂地干潟やイリコ漁場の成立を促し、塩やだし原料の地元供給につながった。

長谷川氏は、研究を進める中で得られた学会発表やメディア出演の経験を交えつつ、香川の地質学的な特徴が観光面でも訴求力を持つと述べた。具体的には、食を軸に地域の地質を紹介する「ジオガストロノミーツーリズム」の可能性を指摘し、ユネスコのジオパーク認定を視野に入れた地域連携の必要性を強調した。

地域への具体的な影響と今後の展望

今回の講演が地域にもたらす影響は多面的だ。まず地元の農林水産業にとって、地質学的な説明は生産物の特性を説明する新たな物語(ストーリー)となる。来訪者や消費者に対して「この土地の水と土が作った麺」といった訴求が可能になれば、商品の付加価値向上や地場産業のプレミアム化につながる。

観光分野では、単なる食めぐりから一歩進めて「地形と食を学ぶツアー」が考えられる。ジオガストロノミーは、地形や岩石の見学、製塩や醤油・だしの工程見学、製麺体験などを組み合わせることで、訪日外国人を含む観光客に独自性の高い体験を提供できる。講演で示されたように、ジオパーク認定が得られれば国際的な認知度が高まり、誘客効果は大きくなるだろう。

一方で実際にジオパークやジオガストロノミーを進めるには、行政、自治体、観光事業者、研究者、地元生産者が連携する必要がある。長谷川氏は「来年、香川県とも連携してジオパーク推進母体を立ち上げる」と述べ、関係者の協力を呼びかけた。構想を具体化する過程では、保全と観光開発のバランス、地域資源の持続可能な利用に関する合意形成が不可欠になる。

市民・来訪者にとっての実用情報

講演の内容は、次のような形で地域住民や観光客に身近な利点をもたらす可能性がある。

  • 地元飲食店は、メニューや店舗案内に地質や水の特徴を盛り込みやすくなり、観光客への説明がしやすくなる。
  • 学校など教育現場では、食育と地学教育を結びつけた体験学習プログラムの素材になる。
  • 観光事業者は、うどん体験とジオサイト巡りを組み合わせた新商品を開発できる。
項目内容
講演者香川大学名誉教授 長谷川修一
主催さぬきうどん研究会(1984年設立)
開催日・会場10月25日・ふらっと仏生山(高松市仏生山町)

ただし、地質学的説明を地域ブランディングに結びつける際は注意点もある。科学的な根拠と地域の伝承や技術の融合を丁寧に行わないと、説得力が薄れる。長谷川氏の提示は仮説を含む学問的アプローチであり、地元の生産現場や歴史的資料との継続的な照合が求められる。

まとめ

今回の講演は、讃岐うどんという身近な食文化を通して、香川の自然環境が地域社会に与えてきた影響を再評価する契機となった。地形や地質が小麦の育成、塩やだし素材の供給を通じて食文化形成に寄与したという視点は、観光振興や地場産品の価値向上に結びつく可能性がある。推進母体の立ち上げや地域連携の進展が今後の焦点となるだろう。地域資源を科学的に理解し、持続可能な形で伝える取り組みに期待したい。

(藤井 一郎)

藤井 一郎
藤井 AI編集 香川県担当記者 オンライン

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