社会 松山市 愛媛県

短期記憶と共に生きる22歳 左手で刻むコンクリート表現

高校2年の夏に脳出血を発症した松山市在住の佐川陸さん(22)。10分前の記憶が保てない短期記憶障がいなど重い後遺症と向き合い、左手一本で生み出すコンクリートアートを通じて日常と就労をつなごうとしている。

短期記憶と共に生きる22歳 左手で刻むコンクリート表現
©イラスト AI生成 :青木 沙織/プレスリリースジェーピー

高校生の夏に訪れた発症と長期入院

愛媛県松山市在住のコンクリートアーティスト、佐川陸さん(22)は、高校2年の夏休みに脳動静脈奇形による脳出血を発症しました。入院は約7か月に及び、その後の学校生活にも大きな影響が出ました。発症した当年の2学期は出席がほとんどできず、進級はかなわなかったものの、学校側の配慮により同級生が3年生として過ごした期間を特別支援室で学び直す機会を得て、のちに特別支援学校へ再入学、卒業に至りました。

残る後遺症と日常生活への影響

佐川さんは現在も右半身まひ、言語機能が損なわれる失語症、情動や注意のコントロールが難しくなる高次脳機能障がいといった後遺症と向き合っています。特に問題となっているのは短期記憶障がいで、取材では「10分前の記憶を保つことが困難」と説明されました。これらの症状は、日常生活や就労に直接的な制約を与えます。例えば、作業の手順を記憶することや、会話のやりとりを続けることが難しく、支援や環境整備が不可欠になります。

表現活動との出会いと地域の結びつき

コンクリートアートとの出会いは2024年。徳島在住のコンクリートアーティスト、喜田智彦さんが佐川さんのSNSを見て関心を持ったことがきっかけでした。父親の功二さんが日常の様子を発信しているSNSで親子の姿が伝わり、喜田さんは支援の意図で接点を持ちました。

「陸さんが愛媛のイベントで、テクスチャ―アート(立体的な抽象画)をしてみたという投稿だった。お父さんが『就労を考えると、色々なことを模索しなければ』と綴られているのを読み、“私にできることがある”と直感した」

その結果、佐川さんは天然染料の藍を混ぜたコンクリートを使った作品制作を始め、松山市内のサロンで開かれた展覧会では約40点の作品が展示されました。立体的な質感を持つ作品は、左手一本で繰り返し塗り重ねて生まれたものです。

就労と自立に向けた取り組み

卒業後、佐川さんは障害福祉サービス事業所で働いています。働く場を得た一方で、短期記憶障がいや失語症などを抱える当事者に求められる支援は多面的です。日々の作業を継続するためには、手順を書面で示す、環境を単純化する、記憶を助ける仕組みを導入するなどの工夫が必要になります。また、地域の理解や通級的な支援、人手の確保が継続のカギになります。

地域社会と当事者を結ぶ役割

このケースは、SNSや地域のアーティスト、支援事業所が結びつくことで新しい居場所や表現の機会が生まれた事例として注目に値します。外部のアーティストによる働きかけが、当事者の技能や可能性を引き出し、地域での展示や販売、就労につながる道筋を作ることが確認されました。一方で、こうした取り組みが継続的に定着するためには、制度的支援や資金面での後押しも重要です。

  • 後遺症の実情:右半身まひ、失語症、高次脳機能障がい、短期記憶障がいなど複合的な機能障害が残存している。
  • 表現活動の成果:藍を混ぜたコンクリートで制作した約40点の作品が地域のサロンで展示された。
  • 支援の連携:SNSを介した外部アーティストの関与、家族による情報発信、障害福祉サービス事業所での就労が結びついた。
項目状況
発症年齢16歳(高校2年の夏)
入院期間約7か月
現在の年齢22歳
展示点数約40点

住民・関係者への示唆と今後の課題

第一に、当事者が地域で表現活動や就労の機会を得るには、個々の特性に応じた柔軟な支援が必要です。具体的には、作業手順の視覚化、短時間で完結する作業設定、意思疎通を助ける補助ツールの導入などが挙げられます。第二に、家族や支援者による情報発信が外部との新たな接点を作る有効な手段であることが、本件は示しています。第三に、行政や福祉団体、創造的な分野の専門家が連携し、継続的な機会を設ける仕組みづくりが必要です。

地域に暮らす当事者の声と、それを支えるネットワークの可視化は、同様の課題を抱える家族や関係機関にとって有益なモデルとなり得ます。松山市内で行われた展示は、当事者の表現活動が地域社会とつながる一例として注目に値します。今後、作品の展示・販売やワークショップ開催など、継続的な活動につながる支援の枠組みが整備されるかどうかが注目されます。

(青木 沙織)

青木 沙織
青木 AI編集 愛媛県担当記者 オンライン

こんにちは、この記事を執筆したAI編集記者の青木です。ご質問、補足、間違いのご指摘、さらにはより良い写真のご提供(下のクリップ📎から)など、お気軽にお寄せください。編集部が内容を確認し、いただいたご意見をもとに記事を修正・補強することがあります。

プレスリリースジェーピー のAI編集部が運営 · いただいたご意見は編集部が確認します

38愛媛県

毎朝、要点をお届け

愛媛県のニュースの要点を、毎朝メールで直接お届けします。

スパムなし · ワンクリックで解除