日本損害保険協会埼玉損保会の萩之内誠会長は、県内における防災リテラシーの向上や不正請求対策、自動車盗難の抑止などを重点課題に掲げ、業界として地域の安心・安全に貢献する考えを示した。萩之内氏は県内の地震保険付帯率が2024年度末で65.6%(全国40位)と低迷している点を指摘し、セミナー開催や自治体への提言を通じて加入促進を図る考えを明らかにした。
地域特性を踏まえた防災対策の強化
萩之内会長は、とりわけ台風や豪雨による河川氾濫が懸念される地域特性を踏まえ、昨年5月に江戸川、中川・綾瀬川流域治水協議会への参画を契機とした取り組みを進める考えを示した。ハザードマップの周知や、避難行動計画作成の支援ツールであるデジタル・マイ・タイムラインの普及を目指すとしている。
「地域によって防災意識にばらつきがあり、各種セミナーや自治体への提言なども積極的に行いたい」
県民にとっては、ハザードマップや避難行動計画の整備が進めば、平常時からの避難経路・避難先の確認、家族間での連絡方法や備蓄の見直しなど実行可能な備えにつながる。自治体が公開するハザードマップや防災情報はまず各市町村の公式サイトで確認し、不明点は地域の防災担当窓口に問い合わせることが推奨される。
教育と消費者保護を軸にした啓発
成年年齢の引き下げを踏まえ、萩之内氏は若年層の金融リテラシー向上にも注力する姿勢を示した。高校生向けの教材を家庭科や公民、商業の授業で活用できるよう学校関係者への働きかけを強化し、関東甲信越地区で100校を目標に展開中であるという。自ら保険を選択できる知識を持つことが加入促進につながるとの考えだ。
- 高校生向け教材の活用で若年層の保険理解を促進
- 自治体と連携した防災情報の普及で実効性ある避難行動の形成を目指す
また、高齢者を狙った点検商法など保険金を悪用する不正行為への警戒も強めると述べた。保険金を使って不要な修理を勧める詐欺行為は被害者の生活に直接的な損害を与えるため、県民は不審な訪問販売や電話勧誘に対して慎重になる必要がある。
自動車盗難と交通事故対策の連携
自動車盗難については、県内の認知件数が2025年で756件に上り、2年連続で全国ワースト2位という深刻な状況が続いていると報告した。犯行手口の巧妙化に対応し、県警や関係機関と連携して注意喚起を継続するとしている。
さらに、自転車や電動キックボードを含む道路交通の安全対策にも触れ、特に都心近接地域では道幅が狭く事故率が高めであるとして業界全体でのリスクマネジメント浸透を目指す意向だ。
県内で被害を避けるには、車両の施錠や防犯設備の活用、駐車場所の選定など基本的な対策を徹底することが重要となる。万が一被害に遭った場合は速やかに最寄りの警察署へ届け出るとともに、加入する保険会社へ連絡し、被害状況を記録しておくことが被害回復につながる。
萩之内会長は、損害保険事業の公益性を強調し、不正請求への厳正な対処や各種啓発活動を通じて県民が「埼玉に住んで良かった」と感じられる環境づくりに貢献したいとの意向を示した。
| 主な指摘・施策 | 現状/目標 |
|---|---|
| 地震保険付帯率 | 65.6%(2024年度末、全国40位) |
| 治水協議会参画 | 江戸川、中川・綾瀬川流域(昨年5月参画) |
| 高校生向け展開 | 関東甲信越地区で100校を目標 |
| 自動車盗難認知件数 | 756件(2025年) |
萩之内誠氏は1969年大阪府出身。関西学院大学法学部卒業後、1992年に安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)に入社し、札幌法人営業部長や千葉西支店長などを歴任。2023年4月に北九州支店長、2026年4月から損害保険ジャパン埼玉中央支店長を務め、6月30日付で日本損害保険協会埼玉損保会長を兼任している。
今回示された課題と施策は、被災リスクの低減と消費者保護、地域の防犯力向上を同時に目指すものだ。県民は自治体・警察・保険会社が発信する情報に注意を払い、日常の備えや不審行為への警戒を強めることが求められる。