事業承継の“現場の継続性”に特化した診断サービス
合同会社Projimo(本店:東京都板橋区、代表社員:西川貴弘)は、中小企業の事業承継における「ITと業務の引き継ぎ可能性」を評価・改善する新サービス「事業承継IT診断Projimo」の提供を開始した。株価評価や税務・法務には踏み込まず、後継者が実務面で会社を動かせるかどうかに焦点を当てる点が特徴だ。
対象とする課題と診断の焦点
Projimoが診断の対象とする問題は、現場で実際に起きる「渡せない事実」の棚卸しである。以下の5つの軸で現状を可視化する:
- 属人性・可視化:業務が特定の個人に依存していないか
- 契約・名義・権限:ドメインやサーバー、口座等の名義・権限の所在
- システムの継続性:古いシステムやベンダー依存の有無
- 経営数字の見え方:後継者が経営数値にアクセス・理解できるか
- 変化への耐性:新しいことを行うための土台があるか
診断手法と成果物
診断は、独自フレーム「先代依存マップ」と、各軸を1.0〜5.0で評価する方式で行われる。診断結果は「事実 → 解釈 → 処方」の3点セットで提示され、単なる評価にとどまらず、実行に結びつく具体的な処方を含む点が強みだ。診断の最終段階では、最初の90日間の行動計画を示し、「誰が・何を・いつまでに判断するか」まで落とし込む。
特徴的な設計――現実的な選択肢とAI活用
サービスの設計上の特徴は次のとおりだ。
- 依存項目を最大5つまで可視化し、影響度や対応の優先度を色分けで示す(速さは「即日」「1週間」「1か月」で評価)。
- 引き継ぎに関する打ち手は思想の異なる3案を提示し、常に「渡さない(縮小・廃業など)」も選択肢として含めることで中立性を保つ。
- 生成AIを活用し、ヒアリングの構造化やドラフト作成を迅速化。従来は人が数か月かけていた工程を短縮し、実務家が検証して最終化するプロセスを採用している。
料金体系(公開されている範囲)
| プラン | 料金(税別) | 提供期間・内容 |
|---|---|---|
| 事業承継IT診断(クイック) | 98,000円 | 最短1週間、優先順位決定の診断 |
| 事業承継IT診断(標準) | 298,000円 | 2〜3週間、引き継ぎ計画まで作成 |
| 引き継ぎ実行支援 | 月額300,000円〜 | 個別対応、棚卸し・移管の実務伴走 |
対象と提供範囲の明確化
対象は従業員10〜100名規模の中小企業で、承継の型(親族内・従業員・第三者・未定)は問わない。Projimoは診断結果を受注前提で作成せず、「現在のままでよい」「システムは触らず記録だけ残せばよい」といった結論も正当な処方として示す方針だ。
扱うものと扱わないもの
- 扱うもの:属人化した業務の可視化、契約・名義・権限の棚卸し、システム継続性とベンダー依存、経営数字の可視化、後継者の実行力の評価
- 扱わないもの:株価評価、税務や事業承継税制の要件判断、株式の分け方や登記、資金調達の可否判断
「属人化は怠慢ではない。その人が会社を背負ってきた証拠。だから私たちは『直す』とは言わず、『渡せる形にする』と言います。」
代表のコメントは、属人化を否定するのではなく、それをどう「渡す形」に変えるかにコミットするというサービスの哲学を端的に示している。
現場へのインパクトと課題
事業承継は税務・法務の議論に偏りがちであるが、後継者が実際に日々の業務を回せるかどうかは経営継続性に直結する。Projimoのアプローチは、社長個人の知見や権限、長年のベンダー関係に依存する実務上のリスクを可視化し、優先順位をつけて手を付ける点に意義がある。
一方で、同サービスが扱わない領域(税務・法務・登記・資金調達等)については従来からの専門家との連携が不可欠であり、診断の結果を実際の法的・財務的な手続きに結びつけるためのワークフロー整備が今後の鍵となる。また、生成AIを活用する部分については、診断の精度や説明責任、個人情報の取り扱いなどの運用面での透明性確保が求められる。
利用のタイミングと実務的助言
Projimoは、後継者が決まった直後、特に「何から教えればよいか分からない」という段階での利用が最も効果的だとしている。実務的には、以下の順で着手すると効果が高い:
- 最初に「先代依存マップ」で即日止まる項目を把握する
- 次に1週間〜1か月で対応が必要な事項を整理する
- 診断に基づく90日アクションプランで担当と期限を明確にする
まとめ
「事業承継IT診断Projimo」は、事業承継議論の不足領域に直接切り込むサービスだ。株や税務とは別に、業務の引き継ぎ可能性を可視化し、実行に移せる計画まで示すことで、全国の中小企業の事業継続性向上に貢献する可能性がある。ただし、法務・税務との連携やAIの利活用に関する説明責任の担保が今後の重要課題となるだろう。