大隅地域の周遊促進を狙ったデジタル企画が始動
鹿児島県の大隅地域振興局は、スマートフォンを活用したデジタルスタンプラリーを2026年8月1日から実施している。事業には滋賀県の株式会社PKBソリューションが提供するスタンプラリーシステム「Stanlly plus」が採用された。今回の取り組みは、2025年3月に全線開通した都城志布志道路の利便性向上を踏まえ、大隅半島の観光スポットの回遊を促す目的で企画された。
実施は2期に分かれ、第1弾が2026年8月1日〜9月30日、第2弾が10月1日〜11月30日に設定されている。参加者は対象地に設置されたポスターのQRコードを読み取るか、端末のGPSを用いてデジタルスタンプを取得。集めたスタンプ数に応じて抽選で地元産品が当たる仕組みだ。
賞品と参加方法、繰り返し応募できる運用
賞品は各期ごとに複数を用意しており、黒毛和牛やうなぎ、黒豚といった地域を代表する食材が並ぶ。具体的な内訳は各期設定で、参加者はスタンプ獲得状況に応じて応募が可能。事務局側は応募回数を制限せず、一定条件を満たすとスタンプ台紙がリセットされ再挑戦できる運用にしているため、短期間に複数回の参加が見込まれる。
「都城志布志道路の開通でアクセスが向上したことを契機に、より多くの方に大隅地域の観光資源を知ってもらいたいと考え、本企画を立ち上げました。」
運営側は、過去の採用実績やシステムの運用実態を評価して今回のプラットフォーム選定に至ったと説明している。導入の際には、設置環境に応じてQRコード方式とGPS方式を使い分けられる点が採用理由の一つとなったという。
地域への波及効果と観光周遊の狙い
大隅半島は、鹿屋市や志布志市、垂水市の沿岸部から内陸の町村まで多様な観光資源を抱えるエリアだ。今回の施策は、都城市方面からの短時間移動が可能になった点を生かし、宮崎県や周辺地域からの誘客を強める狙いがある。ポイントとなるのは、訪問先を複数設定する“周遊”を促すことにより、観光消費の地域内循環を高める点だ。
地域事業者へは来訪者増加に伴う消費拡大、宿泊需要の創出が期待される。特に飲食店や土産品販売、宿泊施設にとっては、短期集中で来訪が見込まれる夏〜秋の期間に合わせた販促機会となる。行政側はスタンプラリーを、地域の魅力を体験してもらう導線と位置づけている。
参加を検討する人への実務的アドバイス
- 参加にはスマートフォンが必須。QRコード読取かGPSでスタンプ取得するため、端末の位置情報やカメラ機能を有効にしておくこと。
- 各スポットでの取得方式が異なるため、事前に公式の案内や設置場所を確認して計画的に回ると効率的。
- 賞品応募は取得したスタンプ数に応じて行うため、応募条件を満たしたら忘れずに手続きすること。
次に、提供されている賞品の構成を分かりやすく示す。
| 賞 | 内容(各期間) | 当選者数 |
|---|---|---|
| A賞 | 大隅産黒牛サーロインステーキ | 5名 |
| B賞 | 大隅産うなぎ蒲焼 | 7名 |
| C賞 | 大隅産黒豚しゃぶしゃぶセット | 10名 |
| おたのしみ賞 | 地域特産品等(内容未定) | 9名 |
運営と民間技術の組合せが示す可能性
今回の事例は、県の振興局が地域活性化策を企画し、民間の既製システムを採り入れて運用コストと導入期間を抑えながら実施するモデルを示している。システム側は設置状況に柔軟に対応する機能を売りにしており、今後、類似の周遊型プロモーションを検討する自治体にとってひとつの参考例となる可能性がある。
大隅地域の観光地や事業者にとっては、来訪者の増加を確実に取り込むため、受け入れ態勢や周遊導線の整備が課題となる。今後、実際の参加動向や来訪者の消費実態が集まれば、より効果的な地域連携のあり方が見えてくるだろう。
(取材・文:中島 優子/プレスリリースジェーピー 鹿児島県担当)