宮崎県商店街振興組合連合会(宮崎市)が、県の補助を受けて「令和8年度 みやざき商店街魅力発信人材育成事業」を始動し、受講生の募集を開始した。商店街に関わる事業者や地域活動の担い手が、自ら取材し、写真・動画を編集し、SNSで発信する力を実地で磨くのが狙い。県商工観光労働部によれば、商店街に特化した情報発信人材の育成を掲げる事業は全国で初めてという。全4回構成、参加費無料、定員20人で、締切は8月20日(木)。
背景—発信できる商店街は強い
全国商店街振興組合連合会の最新の実態調査(令和6年度)では、商店街の活力に影響する取り組みの中で、ホームページやSNSなどを使った情報の発信が、繁栄と停滞の差を大きく分ける要因として浮かび上がった。利用者にとっての「行ってみたい」「買ってみたい」の動機づくりは、日々の発信の積み重ねから生まれる。宮崎県内でも空き店舗の増加や来街者の分散が課題となる中、地域当事者が自走できる発信力を育てることが、店舗の売上や通行量の回復、コミュニティ形成に直結するとみている。
今回の事業は、記者や広報の経験がない人でも取り組めるよう、講義とワークショップ、個別サポートを組み合わせた実践形式。商店街の現場で取材し、Instagramへの投稿までを一連で行い、伝わる構成・写真の切り取り方・短尺動画の作り方を体験的に学ぶ。全4回の受講を終えた参加者には、連合会から認定証が付与される。
分散せず、力を束ねる—統一アカウントで共同発信
特徴的なのは、商店街ごとに複数のアカウントを立ち上げるのではなく、県内の参加者全員でひとつの公式アカウントを育てる設計だ。投稿は共同投稿の形式で集約し、県全体の「宮崎の商店街」としての存在感を可視化する。アカウントは@miyazaki_shotengai。取り組みの経過や学びは、noteにも記録される予定だ。フォローすることで、新規出店や季節の催事、店主の横顔など、各地の小さなニュースに触れられる。
- 対象:商店街の魅力を伝えたい人、店舗のファンづくりを進めたい人、地域活動の情報発信に関心がある人
- 応募条件:全4回の参加が可能で、Instagramでの投稿に取り組めること
- 定員:20人(到達次第締切)/参加費:無料
- 募集締切:8月20日(木)
- 会場:MOC(一般社団法人 宮崎オープンシティ推進協議会内)宮崎市広島1丁目5-13 HAROW高千穂通1階
講座の構成—現場取材から成果発表まで
プログラムは県内店舗の現地取材を軸に、テーマ設定、対話の技術、写真・動画の編集、成果の共有へと段階的に進む。各回の概要と講師は次の通り。
| 回 | 日時 | 内容 | 講師 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 9月11日(金)13:30–16:30 | 発信テーマの探し方(講義・WS) | 諏訪園 哲哉 氏 |
| 第2回 | 10月14日(水)13:30–16:30 | 対話を通じた自分らしい発信(講義・WS) | 黒木 梨澄 氏 |
| 第3回 | 12月2日(水)13:30–16:30 | 画像・動画投稿の制作(講義・WS) | 二木 春香 氏 |
| 第4回 | 2月25日(木)13:30–16:30 | 基調講演/成果発表・修了式 | 深江 園子 氏 |
期間中は、投稿づくりに関する個別の伴走支援も行う。受講生は、現場で感じた店主の思い、商品の背景、季節の景色などを、短いテキストと写真・動画で表現することになる。これにより、通り全体の雰囲気や回遊の導線が、タイムライン上に積み重なっていく。
地域への波及—「来街の理由」を増やす
商店街は、日用品を買うだけの場所から、体験や交流、学びの場へと役割が広がっている。発信人材が増えれば、イベント情報やタイムセール、限定メニューの告知など、暮らしに役立つ情報が迅速に届く。実務面では、以下の効果が見込める。
- 回遊性の向上:複数の店舗や通りの情報が一つのアカウントに集約され、来訪者が歩く理由が増える
- 新人・後継者の定着:店主やスタッフの顔が見える発信は、働き手の共感を呼びやすい
- コストの最適化:統一アカウントにより、情報の分散や管理の重複を抑えられる
連合会は、受講後もオンラインでのやり取りや投稿の共有を通じてコミュニティを維持し、発信を続けやすい環境を整える考えだ。投稿の質や反応のデータが蓄積されれば、来街時間帯や投稿の最適化など、実務に生かせる知見も増える。
申し込みと留意点—まずはフォローから
応募は案内に記載の申込フォームから受け付ける。定員に達し次第、受付終了となるため、早めのエントリーが望ましい。全回の参加が条件となるため、業務の調整やシフトの確保を事前に進めたい。受講前に、公式Instagram@miyazaki_shotengaiをフォローし、既存投稿の構成・文字数・写真の切り取り方を参考にしておくと、初回からスムーズに取り組める。
講師陣は、中小企業診断士や放送・司会の実務家、SNS運用の専門家、地域の食や観光を扱うライターなど、多様な現場経験を持つ。商店街の経営課題から表現までを横断して学べる布陣だ。市内外の商店街関係者、観光・移住の担当者、地域メディアに関わる人材、学生の参加も想定されている。
商店街の価値は、店の数や売場面積だけでは測れない。日々の発信が、店主の挑戦や地域の物語を外へとひらき、来街のきっかけを増やす。「当事者が伝える」ことでしか届かない温度がある。宮崎発のこの試みが、通りに人を呼び戻す実装力を持てるか、初年度の成果が注目される。