輸出総額が5年連続で過去最高
鹿児島県の2025年度における農林水産物・畜産物・林産物・水産物の輸出額は、合計で約584億円となり、5年連続で過去最高を更新した。前年度からの増加額は約113億円に上り、単年度の伸びとしてこれまでの記録を塗り替えた。
増加を牽引した品目と輸出先
部門別ではすべての部門が前年を上回ったが、なかでも農産物の伸びが顕著で、前年度比156%の約115億円を記録した。この農産物のうち約9割を占めるのが抹茶などのお茶である。県は、健康志向の高まりや日本食文化への関心が海外で強まっていることを背景に、カフェや外食産業を中心に新規取扱事業者が増え、販売単価の上昇も寄与したと説明している。
塩田知事は「健康志向や日本食への関心の高まりを背景に、アメリカやEUなどでカフェなどの外食産業を中心に新規の取扱事業者が増えた。販売単価が上昇したことなどにより、輸出額が前年度比164%の約104億円となっている」と述べた。
品目別に見ると、養殖ブリ・牛肉・お茶の三品目だけで輸出額全体の8割以上を占めており、これらが県の輸出拡大の主軸となっている。輸出先では、アメリカが全体の53%と最大のシェアを占め、前年比でも31%増と大きく伸びた。
地域経済への波及と課題
輸出増加は、原材料生産者や加工業者、流通・物流関係者へと波及するため、県内の雇用や所得にも好影響を及ぼす可能性がある。とくに抹茶や牛肉、養殖ブリはブランド化が進めば単価向上や付加価値化が期待でき、地域の所得底上げにつながる。
一方で、輸出拡大に伴って次のような課題も指摘される。
- 生産量の安定確保と品質維持:需要拡大に応えるだけの安定した供給体制が必要。
- 加工・流通の国際規格対応:検査・表示・衛生基準など国ごとの要求に対応するコストとノウハウの整備。
- 物流コストと為替・関税リスク:輸送費の変動、各国の通商政策が収益に影響する。
県の目標と今後の展望
鹿児島県は2030年度に輸出額約800億円を目標として掲げており、現在の約584億円からさらに約200億円以上の上積みが求められる。県は官民一体で販路開拓や海外プロモーションを強化し、ブランド力向上や付加価値型商品の開発を進める考えだ。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 2025年度輸出総額 | 約584億円 |
| 農産物輸出額(農産物合計) | 約115億円(前年度比156%) |
| 県の2030年度目標 | 約800億円 |
県内事業者と消費者にとっての実務的なポイント
県内の生産者や加工業者、輸出に関わる事業者が押さえておくべき点は次の通りだ。
- 販路開拓支援の活用:県や商工団体が実施する海外展示会や商談会、補助金・支援制度を積極的に利用すること。
- 品質管理とトレーサビリティ:輸出先の規制に合わせた衛生管理や情報開示の体制整備が求められる。
- 物流調整とコスト管理:大口輸出に向けて冷凍・冷蔵輸送の最適化や梱包改良でコスト低減を図ること。
輸出の好調は地域経済にとって追い風だが、持続的な成長には受け皿となる生産基盤の強化や、国際水準に適合した加工・流通体制の整備が不可欠だ。県は目標達成に向けて引き続き官民連携を進めるとしており、今後の取り組みと具体的な成果に注目が集まる。
(中島 優子、プレスリリースジェーピー鹿児島県担当)