京田辺市、現金徴収の運用見直しで保育現場の負担を軽減
京田辺市は2026年7月、市立幼稚園およびこども園(幼稚園枠)での預かり保育利用料や給食費などの支払い方法に、会員登録不要のキャッシュレス決済サービス「誰でも決済」を導入した。8月からは預かり保育や給食費の支払いにも本格活用される予定で、現金を使った集金・管理業務の削減と保護者の利便性向上を狙う。
これまで市の市立施設では、利用料や給食費を窓口や集金で現金で受け取る運用が続いていた。紙幣や硬貨の取り扱い、金庫の出し入れ、釣り銭準備、入金確認といった事務作業が保育士や事務職員の業務時間を圧迫していたという。加えて、キャッシュレス化が進む社会情勢の中で、財布に現金を持たない保護者が増えている点も課題とされていた。
「預かり保育は利用者が多く、窓口での対応が難しいという課題がありました。『誰でも決済』は、QRコードを印刷して配布できるので、保護者が自宅からスマホで決済を完了でき、窓口業務の負担軽減につながると考えました。」 — 京田辺市こども未来部保育幼稚園課 籏生係長
市が選定した「誰でも決済」は、会員登録が不要で、主要なクレジットカード(VISA、Mastercard、Diners Club、JCB、American Expressなど)やQRコード決済(PayPay、au PAY等)に対応する点を特徴とする。導入にあたっては初期費用・月額料金が不要であることが説明されており、市側は手軽に導入できる仕組みが決定の一因になったと説明している。
導入がもたらす具体的な効果と住民への影響
今回の導入は、以下のような具体的効果を目指す。
- 保育現場の事務負担軽減:現金の管理・集計にかかる時間や紛失リスクの低減
- 保護者の利便性向上:自宅からスマホで支払いが完了し、ATMや現金準備の負担が減る
- 支払い履歴の把握容易化:保護者が支払った履歴を市のパソコン等で確認可能
現場の声としては、保育士から「金銭管理の手間や不安が減った」「登降園時におつりの準備をしなくてよくなった」といった利点が挙がっており、保護者からも「子どもを抱えたまま小銭を探す負担がなくなる」との評価が示されている。市は保育士が事務に割く時間を減らし、子どもと向き合う時間を確保することを期待している。
導入の運用方法と注意点
市によると「誰でも決済」はQRコードを印刷して配布する運用が可能で、端末機器を新たに整備する必要がない点が強調されている。これにより、窓口での対応が必要な場合でも柔軟に支払いを受け付けられるという。
| 項目 | 現状(従来) | 導入後の運用 |
|---|---|---|
| 支払い手段 | 現金中心 | クレジットカード・QR決済等 |
| 導入コスト | 端末等不要(ただし手作業あり) | 初期費用・月額不要(サービス提供側説明) |
| 確認方法 | 現金出納・手計算 | オンラインで履歴確認可能 |
ただし、市としては導入にあたり、具体的な運用マニュアルや保護者向けの案内、窓口対応のルール整備など、現場が混乱しないための周知が必要になる。現金を希望する保護者や、デジタル決済に不慣れな方への対応をどうするかも課題である。
全国的な動向と京田辺市の立ち位置
保育・教育現場におけるキャッシュレス化は全国的に進みつつある。京田辺市は今回の導入で、利用者が多い預かり保育の支払いで業務効率化を図ることを優先した。地方自治体が教育・保育分野でキャッシュレス決済を公式に導入する事例は増えており、京田辺市の取り組みはその一例といえる。
市内の保護者が受ける影響は実務面で大きく、日常の小銭準備やATM往復の手間が減る一方、決済手段に不安を感じる層への配慮が求められる。市は8月からの本格運用に向け、保護者向けの案内や問い合わせ窓口の整備を進めるとみられる。
京田辺市の導入事例は、他自治体が保育現場のデジタル化や事務効率化を検討する際の参考になる可能性がある。導入効果の検証や、運用上の課題に対する対応の公表が今後の注目点だ。
(石川 真央、プレスリリースジェーピー京都府担当)