岡山市・後楽園で県内初の被害確認
岡山県は7月、岡山市の国指定名勝・後楽園内で、外来種の甲虫「クビアカツヤカミキリ」による被害を県内で初めて確認したと発表した。後楽園事務所の職員が今月21日に園内のサクラで、幼虫の排せつ物と木くずが混ざった「フラス」とみられる痕跡を発見。24日に県と専門家が現地確認を行い、鑑定の結果、同種による加害と認められた。
クビアカツヤカミキリは、サクラやウメ、モモなどバラ科樹木の内部に幼虫が侵入して木材を食害し、最悪の場合、樹木を衰弱・枯死させることがある外来の昆虫だ。これまでに本州の複数都府県で被害が確認されているが、岡山県での確認は今回が初めてとなる。
県の対応と地域への影響
県は関係機関と連携し、以下の措置を実施するとしている。
- 後楽園周辺の住宅へのチラシ配布などによる注意喚起
- 公園や公共施設、街路樹にあるサクラ、ウメ、モモの点検
- モモやウメなど果樹生産者に対するほ場の確認・点検の周知と、発見時の県への通報依頼
観光地である後楽園での被害確認は、景観・観光面の懸念を伴う。被害が広がれば園内の保存樹木の管理や、観光業への影響が出るほか、街路樹や個人宅の庭木、果樹園にも被害が及び得る。果樹生産者にとっては生産量や樹勢低下による経済的損失のリスクとなる。
クビアカツヤカミキリとは
県発表の説明に基づく特徴を整理すると、同種は以下の点が挙げられる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産地 | 中国・朝鮮半島・ベトナム北部など |
| 外観 | 黒色で光沢があり、胸部(首の部分)が赤い |
| 体長 | 約2.5〜4cm(触覚を除く) |
| 加害対象 | サクラ、ウメ、モモなどバラ科の樹木 |
| 生態 | 幼虫が樹木内部で2〜3年かけて成長、成虫は5月末〜8月に発生 |
| 確認状況(令和8年7月時点) | 20都府県で確認(茨城から香川まで) |
幼虫が内部に入り込んだ樹木からは、排せつ物と木屑が混ざったうどん状のフラスが外部に出ることが観察される。後楽園の事例も、このフラスの存在が発見のきっかけとなった。
「園内のサクラにフラスが確認され、鑑定の結果、クビアカツヤカミキリによる被害と確認された」
住民・果樹生産者が取るべき実務的な対応
現時点で県は周辺点検と通報の周知を進めている。住民や管理者、果樹生産者が現実的に行える点検・対処方法は以下の通りだ。
- 庭木や街路樹で、幹や枝の根元付近に糸状・うどん状のフラス(幼虫のフンと木くずの混合物)がないか確認する
- 樹皮がはがれやすくなっていたり、樹勢が急に衰えている樹木がないか点検する
- 疑わしい痕跡や成虫を見つけた場合は、県の公表している通報窓口に連絡する(県からの指示に従い、専門機関と連携した対応をとることが重要)
なお県の発表では、発見時には岡山県に通報するよう周知するとしているが、具体的な窓口・連絡先は今後の周知資料で案内される見込みだ。関係機関は連携して調査と封じ込めに努めるとしている。
背景と今後の注視点
クビアカツヤカミキリはこれまで関東や近畿など広範な地域で確認されており、貨物などに紛れて侵入した可能性が指摘されている。幼虫は樹木内部で長期間過ごすため、発見が遅れると被害の拡大につながる。観光名所の樹木管理と果樹園の生産管理の両面で、早期発見と迅速な情報共有が鍵となる。
後楽園は季節ごとの樹木景観が訪問者にとって重要な要素であり、県と園側は今後も樹木の健全性を維持するための点検や必要な防除措置を進める必要がある。果樹生産者には、ほ場のこまめな点検と疑わしい兆候の速やかな報告が求められる。
今回の確認を受け、県は引き続き関係機関と連携して詳細な調査、被害拡大防止策の策定・実施、住民への周知を行う方針だ。後楽園周辺の市民や来園者、果樹生産関係者は、県発表や地方自治体の案内に注意し、異常を見つけた場合は通報するよう心がけてほしい。