大分で分布拡大、イヌマキ被害が顕在化
大分県内で外来のガの一種、キオビエダシャクの大量発生が相次ぎ、植栽として広く使われるイヌマキなどで幼虫による食害が確認されています。県内では2025年秋ごろから確認が増え、2026年には佐伯市をはじめ大分市内でも多くの発生が報告されています。南九州大学昆虫学研究室の新谷喜紀教授は、対策を早期に行わないと被害が拡大すると警鐘を鳴らしています。
被害の現状と専門家の指摘
大分城址公園近くのイヌマキでは枝が露出するほど葉が失われ、画面内で20匹ほどの幼虫が確認されるなど、目に見える食害が進行中です。新谷教授によれば、キオビエダシャクは繁殖力が高く、1匹の成虫が500~1000個程度の卵を産むため、放置すると個体数が急増します。また、幼虫は年に4~5回発生するとされ、現時点は幼虫が多い時期で、7月末ごろには多くが成虫に移行すると見られます。
「分布の拡大が歯止めが利かなくなっている。対策をしないと相当な被害が出る可能性があります」 — 南九州大学 新谷喜紀教授
増加の背景として、新谷教授は温暖化や繁殖力の高さ、特定樹種との関係を挙げています。キオビエダシャクはイヌマキを好んで幼虫が集中的に発生する傾向があり、イヌマキ以外の樹木では発生しにくいとされる一方で、イヌマキが集中的に食害されることで局地的に被害が拡大する点が問題視されています。
住民・管理者が取るべき具体的対策
人への直接的な危害は報告されていませんが、景観や防風、防災上の樹木損傷を防ぐため、幼虫段階での対応が重要です。現在の時期は幼虫が多いため、次のような対策が有効とされています。
- 木を揺すって幼虫を落とす(落ちた幼虫は駆除する)
- 幼虫用の薬剤を散布する(成虫になると薬剤の効果が薄れる)
- 市や公園管理者に被害箇所を連絡し、集団発生の情報共有を図る
薬剤散布を行う際は、農薬使用基準や周辺環境、植栽管理のガイドラインに従い、専門業者や市の指導を受けることが望ましい。成虫期に入ると防除が難しくなるため、幼虫段階での作業が効果的です。
市の対応と住民への影響
大分市は2026年に入り食害に関する注意喚起を本格化しています。公園や公共施設の植栽管理では被害箇所の確認と駆除を進めていますが、個人宅の庭木や民間の生垣などでも被害が出ているため、住民による早期の発見と対応が被害拡大防止の鍵になります。イヌマキは庭木や生垣として用いられることが多く、観賞価値や風除けといった機能低下が懸念されます。
被害が放置されると、枝枯れや樹勢の衰退につながる恐れがあり、場合によっては樹木の撤去や大規模な補植が必要になる可能性があります。特に公園や学校敷地など公共性の高い場所では、景観回復や安全確保のため早期対策が求められます。
| 項目 | 本誌が確認した情報 |
|---|---|
| 原産地 | 東南アジアなど(外来種) |
| 寄生対象 | イヌマキ中心 |
| 繁殖力 | 成虫1匹あたり500~1000個の卵 |
| 発生回数 | 年に4~5回 |
| 大分県内の動き | 2025年秋ごろから確認増、2026年に佐伯・大分市で多発 |
住民への呼びかけと今後の見通し
専門家は、今後も分布域が北上する可能性があると指摘しています。被害の拡大を抑えるため、個人レベルでできる早期発見・初期対応を心がけること、並びに市など行政と連携して情報共有を行うことが重要です。公園管理者や造園業者は発生状況を定期的に点検し、必要に応じて専門家による防除計画を立てることが求められます。
本件は人の健康被害は報告されていないものの、地域の緑地や庭木の保全に直結する問題です。被害を見つけた場合は、所在地や被害状況を写真で記録し、市の相談窓口や公園管理事務所に連絡してください。成虫期に入る前の今が対策の最も有効な時期です。