地域支援型農業(CSA)の実践が学生教育と地域産業を結ぶ
近畿大学農学部農業生産科学科の農業経営経済学研究室と奈良県曽爾村、一般社団法人曽爾村農林業公社は、令和8年(2026年)7月15日(水)に近畿大学奈良キャンパスで曽爾村の特産品を販売・PRするマルシェを共同開催する。開催は午前11時から午後3時まで(売切れ次第終了)で、会場は同大のつながる館「いおり1」。対象は大学の学生・教職員だが、地域と大学が協力して商品開発や販売運営に取り組む点が注目される。
この動きは、2019年に締結した包括連携協定に基づく具体的事業の一つで、2023年から「そにのわCSA」として継続的に実施してきた取り組みの延長線上にある。CSA(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)は、消費者の前払いや会員契約を通じて生産者を安定化させ、地域の農業や暮らしを支える仕組みだ。大学側は教育・研究の機会、地域側は販路や認知度向上を得ることができる。
当日の販売は、曽爾村産の規格外トマトなどの生鮮農産物に加え、学生と村および公社が共同で開発したトマトソース(柚子はちみつ、きのこ当帰の2種、各880円税込)も予定されている。学生が生産や加工、販売に関わることで、実践的な学びと地域産業の循環が生まれるのが狙いだ。
大石卓史教授は「農村計画学会 2025年度 実践賞」を受賞している。
大学のCSA実践は国内でも先駆的な取り組みとして評価されており、農学部の教員と学生は外部の大会や学会でも成果を示している。近畿農政局の学生コンテストでも「そにのわCSA」が特別賞を受けるなど、教育面での成果が地域連携の正当性を補強している。
地域農業への効果として、CSAは生産者の収入安定や営農意欲の向上につながる可能性が高い。曽爾村のような中山間地域では、規格外品の活用や加工品化が重要な付加価値創出手段になる。今回のマルシェは、規格外トマトの販売機会を直接つくることで廃棄削減にも寄与する見込みだ。
- 学生側の利点:生産・加工・販売の全工程に関わる現場体験が得られ、カリキュラム外の実践的学修機会となる。
- 村側の利点:都心に近い大学キャンパスでの販売により知名度向上と新たな顧客接点が生まれる。
- 消費者側の利点:地域産品を手に取りやすくなり、産地直送に近い品質の農産物や加工品を入手できる。
加えて、一般社団法人曽爾村農林業公社は、集荷や発送など物流面の機能を担い、製材や木材加工など林業分野と農業分野の両輪で地域の6次産業化を推進している。マルシェはそうした取り組みの成果を対外的に示す機会でもある。
住民と消費者にとっての実用情報
日時:令和8年(2026年)7月15日(水)11:00〜15:00(完売次第終了)
場所:近畿大学奈良キャンパス つながる館 いおり1(奈良市中町3327-204)
交通:近鉄奈良線「富雄駅」からバス約10分
販売商品は予告なく変更されることがあるため、目当ての商品がある場合は開始直後の来場を勧める。大学キャンパス内の開催であるため、来場に際しては大学側の案内や新型感染症等の当該時点の対応にも留意してほしい。
さらに、今回の取り組みは単発のイベントにとどまらず継続的に開催され、地域の魅力発信やCSAの普及を目的としている。地元消費者や都市部の学生・教職員が継続的に曽爾産を購入するようになれば、長期的には生産計画の安定化や加工商品のラインアップ拡充につながる可能性がある。
今後の展望としては、マルシェの成功を踏まえた定期化や、オンライン販売の併用、他学部や地域企業との共同プロジェクト化が考えられる。大学の研究成果や学生のアイデアを商品開発に反映させる仕組みが進めば、地域ブランドとしての価値向上にも寄与するだろう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 近畿大学農学部、曽爾村、曽爾村農林業公社 |
| 日時 | 2026/7/15 11:00〜15:00(完売次第終了) |
| 場所 | 近畿大学奈良キャンパス つながる館 いおり1 |
| 主な販売品 | 規格外トマト、トマトソース(柚子はちみつ、きのこ当帰)等 |
大学と自治体、地域の実務組織が一体となったこの試みは、教育と地域振興を結び付けるモデルケースとして他地域にも示唆を与える。消費者の参加や支援が長期的な成果を左右するため、地域の外部に向けた情報発信と販売ルートの多様化が今後の鍵になる。
以上、奈良県内の地域資源を活かした産学連携の取り組みとして、今後も動向を追って報じる。