閉校の記憶を資源に変える取り組み
京都府亀岡市は、閉校となった学校に残された机や椅子などの廃材を活用し、楽器へと生まれ変わらせる市民参加型の取り組み「Closed School → Sound! 閉校アップサイクル楽器プロジェクト」を実施する。制作から演奏までを通じて、資源循環やアップサイクルの考え方に触れてもらう狙いだ。企画は亀岡市が中心となり、パーカッション奏者で画家の渡辺亮氏がプログラムをプロデュースする。
プロジェクトは、単に廃材を再利用するだけでなく、「学校が地域の思い出を刻む場である」という点に着目している。かつて学んだ椅子をカホンなどの打楽器に作り替え、色を塗り音を出す体験を通じて、世代を超えた交流や地域の再生につなげることを目指す。
「環境=難しいもの」「我慢が必要なもの」というイメージを、「楽しそう」「やってみたい」という前向きな印象へと変えていくことを目的に企画しました。
スケジュールと参加方法
プロジェクトの集大成は、2026年10月4日(日)に開催される「全国都市緑化フェアin京都丹波」の関連イベント「環境Day」内のステージで行われる市民参加型の大演奏会。これに向けて制作と練習を一貫して体験するワークショップが実施される。募集要項の要点は次の通りだ。
- 対象:どなたでも(音楽経験不問)
- 定員:30名(予定、応募多数は抽選)
- 参加条件:Day1またはDay2のいずれかと本番(Day3)に参加できること
- 申込締切:2026年8月27日(木)午後3時
| 日程 | 内容 | 会場 | 時間 |
|---|---|---|---|
| Day1:2026/9/6(日) | 楽器に触れて色塗り等の制作 | Circular Kameoka Lab | 10:00〜12:00 |
| Day2:2026/9/13(日) | 演奏練習 | Circular Kameoka Lab | 10:00〜12:00 |
| Day3:2026/10/4(日) | 演奏会(全国都市緑化フェア関連) | 京都・亀岡保津川公園 | 12:00〜12:50 |
地域と環境政策をつなぐ意義
亀岡市は「世界に誇れる環境先進都市」を掲げ、「プラごみゼロ」など複数の環境施策を進めている。本プロジェクトは、環境保全のメッセージを“体験”として伝える試みであり、次の点で地域に与える影響が期待される。
- 資源循環の実践教育:廃材をただ廃棄するのではなく、価値あるものに変える過程を市民が体験することで、日常生活でのリデュース・リユースの意識が育まれる。
- コミュニティ再生:閉校の記憶を共有する場として機能させ、世代間の接点を創出することで地域連帯を強化する。
- 参加型サーキュラーエコノミーのモデル化:廃材の受け皿を市民参加型でつくることで、持続可能な資源流通の枠組みを地域発で試行できる。
住民にとっての実用情報
参加希望者は申込期限(2026年8月27日午後3時)までに申し込む必要がある。募集は先着ではなく、応募者多数の場合は抽選となる点に留意してほしい。対象は年齢・経験を問わないため、家族や卒業生の参加も歓迎される。制作は色塗りなど汚れてもよい作業が含まれるため、当日は適した服装での参加が推奨されている。制作された楽器や、提供された折れたドラムスティックは演奏に使用されるため、思い出の品を次世代へつなぐ実感を得られる機会になる。
また、本事業は全国都市緑化フェアの関連イベントと連動しており、当日の演奏は来場者に向けた公開パフォーマンスとして行われる。地域内外からの来場が見込まれるため、地元商業や観光への波及効果も期待される。
今後の展開と留意点
亀岡市は本プロジェクトを通じて、単発のイベントに終わらせるのではなく、参加型サーキュラーエコノミーの基盤形成を目指すとしている。今後は廃材のさらなる活用法の検討や、企業・学校との連携拡大が想定される。しかし、制作物の安全管理や著作権・肖像権等の扱い、ワークショップ参加者の安全確保など実施面の運営にも注意が必要だ。
地域住民にとっては、忘れられつつある学校施設の記憶を再構築する良い機会となる一方、参加には事前申込が必須であり、定員に限りがあるため関心のある人は早めの手続きが望ましい。
(石川 真央)