調査の要旨と背景
看護・介護付きの外出・旅行サービスを提供するReTaby(リタビー)が実施した調査(全国、男女434名対象)によると、介護に関わる当事者・経験者は全体の62.4%(271名)にのぼった。一方で、介護がある人(273名)に対して「家族との旅行を検討して実現できなかった」と答えた割合が37.4%と最も高く、旅行への関心は高いものの実行に移せない現状が明らかになった。
主要な調査結果(抜粋)
| 項目 | 割合(該当数) |
|---|---|
| 介護の当事者・経験者 | 62.4%(271名) |
| 旅行を検討したが実現できなかった | 37.4% |
| 検討して実現した | 25.6% |
| 家族だけで対応している | 47.7%(167件) |
| 外出・旅行サポートサービス利用 | 2.6%(9件) |
| 介護スタッフ等の同行利用 | 3.4%(12件) |
旅行をためらう具体的理由
- 本人の体力低下・意欲低下(最多、281件)
- 体調変化への不安(224件)
- 移動手段の確保(189件)
- 緊急時の医療対応への懸念(104件)
- 介助者の身体的・精神的負担(147件)
- 宿泊・観光施設のバリアフリー状況(137件)
自由回答にはトイレ・排泄や浴場の安全性、宿のホームページ情報と実情の差など切実な声が多く寄せられている。例えば多目的トイレの不足や、温泉施設で床が滑りやすく常に身体を支えなければならず本人が楽しめなかったという具体例が報告されている。
「外出しやすい条件を整えても本人の意欲の低下で実現できないことが多いです」
現状の問題点と意義
調査からは、介護を抱える家族の外出・旅行が本人の状態だけでなく、付き添い側の負担や受け入れ環境の不足により阻まれていることが明確になった。特に注目すべきは、専門サービスの活用が極めて低い点だ。外出や旅行の手配・サポートサービスの利用は2.6%、介護スタッフ等の同行は3.4%にとどまり、ほとんどが家族だけで対応している実態がある。
読者に役立つ実務的なポイント
調査結果を踏まえ、旅行を計画する際に検討すべき具体的な項目をまとめる。
- 事前の健康チェックと主治医相談:通院状況や現在のリハビリ状態を確認し、移動や宿泊の可否を医師と擦り合わせる。
- 緊急時対応の確認:宿泊先・交通機関での医療対応、最寄り医療機関の場所や連絡先を事前に把握する。
- 移動手段の工夫:長距離移動の場合は途中休憩や車内トイレ対応を計画し、必要な場合は福祉タクシー等の利用を検討する。
- 受け入れ環境の事前確認:宿泊施設の段差、浴室の手すり、多目的トイレの有無などを現地に確認する。
- 支援サービスの検討:同行介護スタッフや外出サポート事業者の利用が可能かを問い合わせ、見積もりや対応範囲を確認する。
制度・サービスの周知と課題
調査の回答者からは「もう少し安心して相談できる窓口や同行支援が身近にあったら外出の機会を増やせた」という意見が寄せられている。制度や事業者は存在しても、利用方法や提供範囲、費用などの情報が届かず活用に結びついていない可能性がある。行政窓口、介護支援専門員(ケアマネジャー)、民間の旅行支援事業者が連携し、具体的な案内を分かりやすく提示することが求められる。
まとめと今後の視点
今回の調査は、介護を抱える家庭が外出・旅行に強い関心を持ちながらも、多くが実現に至っていないギャップを浮かび上がらせた。主な阻害要因は本人の体調・意欲の低下、緊急時対応や移動・宿泊の環境、そして付き添い家族の負担であり、専門サービスの利用が極めて限定的である点が特徴的だ。
今後は以下の点が重要になる。
- 支援サービスの周知強化と利用しやすい仕組みづくり
- 宿泊・観光施設の情報整備と実態の透明化
- 地域医療・介護職種と観光分野の連携による受け入れ体制の整備
これらにより、介護が必要な家族と共に外出や旅行を楽しむ機会が増え、当事者のQOL(生活の質)向上や家族の息抜きにつながる可能性がある。まずは主治医やケアマネジャーに相談し、利用可能な支援サービスや同行サポートの選択肢を確認することを推奨する。