城西国際大の学生が一宮で在宅ケアの現場を学ぶ
城西国際大学健康科学部看護学科の学生3人が7月5日、千葉県一宮町にあるミナモトファームを訪れ、移住して地域で暮らす齋藤絢子さん一家への聞き取りを行った。今回の訪問は「自分らしく生きること」をテーマにしたプロジェクト教育の一環で、学生は在宅での看取りや地域の支え合いを実践例から学んだ。
同ゼミを指導する山村美恵子准教授は、事前学修に加え地域で暮らす人へのインタビューを通じて、看護が個人の人生観や家族・地域とのつながりを理解することに重きを置いていると説明した。学生たちは文献学修だけでは得られない現場の声を直接聞き、理論と実践の架け橋を確認した。
訪問先の齋藤さん一家は、都会から一宮町へ移住し、古民家をリノベーションして段差をなくすなどバリアフリー化を施した住まいで暮らしている。夫は病気のため車いすでの生活となったが、家族は「最期は自宅で迎えたい」との意思を医療・介護側に伝え、多職種の連携で自宅療養の環境を整えた。結果として夫は住み慣れた自宅で家族に見守られながら最期を迎えたという。
学生の振り返りでは、それぞれが在宅ケアの支え方や家族・地域の役割について具体的な学びを得たと述べている。看護学科1年の横山莉子さんは「多くの人とのつながりを大切にしながら活動する姿がすてきだった」と感想を述べ、同1年の堀内櫂吏さんは「本人だけでなく家族や地域が関わることで在宅みとりが成り立つことを学んだ」と語った。嶋田亜衣子さんも齋藤夫妻の前向きな考えを「自分らしく生きることの根源」として受け止めた。
今回の事例から浮かび上がるのは、在宅での最期を支えるための具体的な仕組みと、地域の資源の重要性である。齋藤さん一家のケースでは、住環境の改修だけでなく、ケアマネジャーを中心とした医療・介護・訪問看護など複数職種の連携が鍵となった。これは一宮町のような地方自治体で今後さらに求められる支援の形を示している。
- 住環境の改修:古民家のバリアフリー化で移動の負担を軽減し、生活の質を保った。
- 多職種連携:ケアマネジャーを中心に医療・介護・訪問看護が連携し在宅療養を支援した。
- 家族と地域の役割:家族の意思表明と地域資源の活用によって自宅での看取りが実現した。
住民にとっての示唆は明確だ。高齢者や障がいのある家族と暮らす家庭は、住環境の整備、地域の相談窓口やケアマネジャーとの早期連携、訪問医療・看護の利用可能性の把握が生活の安定に直結する。自治体や地域包括支援センターに相談することで、どのような支援が受けられるか、具体的な手続きを早めに確認することが望ましい。
「自分らしく生きるとは日常で困難があっても夢を持ち、人と支え合いながら日々を積み重ねることだ」— 山村美恵子准教授(同校の教育意図)
教育面でも意義は大きい。看護学科の学生が地域に出て実践者の話を聞くことで、在宅医療や地域ケアの現場感覚を身につける。将来的にこれらの学生が地域医療・介護の現場で働くことになれば、一宮町を含む地方の医療体制の担い手が増える可能性が高まる。
| 項目 | 今回のポイント |
|---|---|
| 訪問日 | 7月5日 |
| 訪問先 | ミナモトファーム(一宮町) |
| 参加者(学生) | 横山莉子、堀内櫂吏、嶋田亜衣子(いずれも同学科1年) |
| 指導教員 | 山村美恵子准教授 |
一宮町の住民や関係者にとって、今回の取り組みは地域での在宅支援の実際を知る貴重な機会だ。自治体や医療機関、介護事業者は、住民が必要な支援を受けやすくするための情報発信と窓口強化、そして学生ら教育機関との連携を深めることが求められる。市民側も早めの情報収集と相談の意識を持つことが、在宅での安心につながる。
(池田 修)