行政の枠を越え、住民同士が直接つながる試み
岐阜県飛騨市は、京都府京丹波町のファンクラブを招いて、住民主体の合同交流イベント「CLUB京丹波FAN MEETING」を7月25日に市内で開催する。両地域の交流はロケツーリズムを契機に始まり、自治体職員同士の関係を基に深まりを見せてきた。今回は自治体の取り組みを足場にしつつ、ファンクラブが主導して住民同士の接点をつくる点が特徴だ。
市が示す狙いは明確だ。従来の「囲い込み型」のファンづくりではなく、複数地域に関わる時代へ対応するため、ファンや関係人口を互いに開放し、共有する新たな関係性をつくるという。国の「ふるさと住民登録制度」をにらんだ長期的な視点もその背景にある。
「私たちの当たり前の暮らしって、そんなに面白いんだ!」
このような気づきが、京丹波町側の来訪を通じて飛騨市民に生まれることを期待している。市は過去に富山県氷見市との交流事業も行っており、地域間での人的交流や情報共有を継続的に進めている。
背景と経緯:ロケツーリズムが結んだ縁
交流の端緒は2022年にさかのぼる。ロケツーリズムに関わる京丹波町職員の訪問をきっかけに、両地域は互いの地域づくりを学び合う中で関係を構築してきた。京丹波町主催のシンポジウムで飛騨市の事例が紹介されるなど、行政間の情報交換が住民レベルの交流に発展している。
住民にとっての具体的な影響
- 地域への来訪機会が増えることで、地元商店や観光関連事業に対する経済的波及が期待される。
- 外部の視点を通じて住民が自らの暮らしを再評価する契機となり、地域への愛着(シビックプライド)が高まる可能性がある。
- イベントを通じた人的ネットワークが続けば、移住や二拠点居住など将来的な関係人口の深化につながることが見込まれる。
短期的には、交流会当日の飲食・土産物需要などが見込まれる。一方で長期的には、互いのファンを開放し合うことで観光シーズンの平準化や、季節外れの来訪者増加といった効果も期待される。
行政と住民、それぞれの役割
飛騨市側は行政が持つプラットフォームを「出会いの安心なインフラ」として提供することで、個人や民間だけでは実現しにくい接点づくりの支援を行う。一方で、ファンクラブや市民ら住民主体の企画運営が、交流の持続性を左右する。今回の事例は、行政支援と住民主導のバランスが重要であることを示す。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | CLUB京丹波FAN MEETING |
| 開催日 | 2026年7月25日(土) |
| 主催 | 京丹波町ファンクラブ企画(飛騨市受入) |
今回の取り組みは、地域間の競合ではなく協調をベースにした関係人口政策の一例として注目される。自治体がファンを「囲い込む」従来型の姿勢を改め、互いの魅力を共有することで新たな観光・交流の可能性を模索する動きは、ほかの地方自治体にとっても参考になるだろう。
実務面では、参加者の受け入れ準備や地元関係者との調整、感染症対策など運営上の配慮が求められる。また、交流後のフォローや継続的な接触の仕組み作りが、単発のイベントで終わらせない鍵となる。
飛騨市は今後も複数地域との連携を視野に入れながら、住民主体の交流促進を進めていく考えだ。地域の“当たり前”を再発見し合うことで、住民の誇りと地域の魅力発信がいっそう進むことが期待される。