就労支援と食の安心を結ぶEC展開
愛知県西春日井郡豊山町で卵や乳製品を使わないアレルギー対応のパンを製造・販売する就労継続支援B型事業所「ごえんぱん」が、開業から2周年を迎えたことを契機に、冷凍パンの全国配送を可能にするECサイトを立ち上げた。運営会社は株式会社ナゴヤ鴨ガシラランドで、工房は豊山町豊場冨士の所在地で製造を行っている。
ごえんぱんは従来、店頭販売や地域イベント、高齢者施設や福祉施設向けの販売を中心に活動してきた。利用者や遠方の要望を受け、冷凍技術で焼き上げ直後の食感を保ったまま全国に送れる仕組みを整えたという。これにより店舗へ足を運べない人や、離れて暮らす家族と同じ商品を共有したいとのニーズに応える狙いだ。
原材料と製造環境の配慮
商品の主原料には、愛知県産小麦の「きぬあかり」と米糀(こめこうじ)を採用している。米糀を加えることで自然な甘みやふんわりもちもちした食感を引き出すことを目指し、卵・乳を使わないレシピでも食味の満足度を高める工夫がされている。工房内は卵・乳製品を持ち込まない運用とし、微量混入への配慮も行っている点が強調されている。
障がいのある人の就労と地域連携
ごえんぱんは、障がいのある人が製造に携わる就労継続支援B型として事業を運営している。単に福祉目的の商品を作るのではなく、「おいしさ」で選ばれる商品づくりを志向し、作業内容も無理なく取り組める形で工程設計をしているという。シフォン&ベーグル専門店「ごえんや。」の柴田里子氏が製品開発と監修を担い、家庭製パンの指導経験を活かした工程設計が取り入れられている。
「誰が食べても、おいしい。」
運営側はこの言葉を指針に掲げ、アレルギーの有無や年齢を問わず家族や友人と同じ食卓を囲める商品を提供することを目標にしている。高齢者の咀嚼・嚥下の不安に対応するやわらかさも特徴としており、施設向けの需要にも応えてきた。
地域と利用者への具体的な影響
ECサイトによる全国発送開始は、次のような影響を地域と消費者にもたらすと見られる。
- アレルギーを抱える子どもやその家族が、地域外でも同一商品の入手が可能になり、行事や家庭で同じものを分かち合える機会が増える。
- 高齢者施設や福祉施設での利用が広がれば、地元製品としての導入が進み、安定した販路確保と就労支援の継続につながる可能性がある。
- 県産小麦の活用は地域農業との接点を深め、地産品を使った加工品の付加価値向上に寄与する。
運営側は、これまで地域イベントや施設販売を通じて得た反応を踏まえ、遠方からの購入ニーズに応えるためEC化を決めたと説明している。焼き立ての風味を保つ冷凍技術を用いることで、消費者が自宅で復元して楽しめる形を目指している。
製品ラインナップと販売方法
公表されている商品名には、米糀を活かした食パンやカラフルメロンパン、焼きカレーパン、もっちりあんぱんのほか、糀甘酒グラノーラやもなかフロランタンなどがある。販売は店舗・イベントに加え、今回開設したECサイトでの全国発送も行う。問い合わせ先として担当の山田氏の連絡先(info@goenpan.com)が案内されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | 株式会社ナゴヤ鴨ガシラランド(就労継続支援B型 ごえんぱん) |
| 所在地 | 愛知県西春日井郡豊山町豊場冨士93番1 |
| 主な原料 | 愛知県産小麦「きぬあかり」、米糀 |
| 販売方法 | 店頭・イベント・施設販売、ECサイト(全国配送) |
今後の課題としては、冷凍流通の品質管理、送料負担を含む価格設定、EC対応による受注・発送業務の負荷といったオペレーション面の整備が挙げられる。就労支援事業としては、安定した生産と販売の両立が継続的な雇用機会の確保に直結する。
豊山町内での地域資源(小麦)活用と、障がい者の就労機会創出を組み合わせた取り組みは、同様の課題に直面する他地域のモデルケースになり得る。地元での試行を踏まえながら、品質や供給体制を整え、広く消費者の信頼を得ることが今後の鍵となるだろう。
ごえんぱんは、引き続き「人にやさしい、体にやさしいパン」を掲げ、アレルギーのある人や高齢者をはじめ誰もが安心して食べられる商品づくりを進めるとしている。