乳幼児を守る実践的な備えを学ぶ
岐阜県飛騨市で21日、赤ちゃんを育てるパパやママを対象にした「赤ちゃん防災」講座が開かれた。参加者は生後数か月から2歳までの子どもを持つ家庭で、講座では災害時の乳幼児の安全確保や日常的な備えについて、パパ・ママ目線で具体的に伝えられた。
講師を務めたのは、防災ガイドのあんどうりすさん。講座では、阪神・淡路大震災の経験やアウトドアで磨かれた知見を元に、日常生活で実践できる防災対策が示された。参加者は市の託児のもと、VR(仮想現実)技術を使って震度6強相当の揺れを体験し、災害時の状況を身体で理解する機会が設けられた。
「液体ミルクは常温保存できるけど、夏の暑いときはクーラーバッグに移すなど必要」 — あんどうりすさん
講座では、粉ミルク以外の選択肢として液体ミルクの扱い方や、哺乳瓶が洗えない場合に使い捨て紙コップでミルクを与える方法、日常備蓄のポイントなど、赤ちゃんの世話に直結する実践的なノウハウが共有された。参加者からは「慌てずに対応できるよう、使い捨てのコップを多めに用意しておく必要がある」といった感想が出た。
医療体制の制約が取り組みの背景
こうした「赤ちゃん防災」に力を入れる理由として、飛騨市の市民福祉部・保健センター長である小洞尚子氏は、飛騨地域は病院や産科が少ない現状を挙げ、限られた医療資源の中で幼い子どもを守るための支援が必要だと説明している。市は2020年から毎年、子育て世代向けの防災講座を開催しており、継続的な情報提供と意識向上を図ってきた。
実技的な学びの一環として、親子でAEDの扱いを学べる玩具に触れる時間も設けられ、乳幼児の救命処置や応急対応の初動を体験する場が用意された。参加者は「自分で知識を持って行動する重要性を改めて感じた」と述べ、地域での備えに対する意識が高まった様子だった。
家庭で今すぐできる備えと市の取り組み
講座で示された準備や対策は、日常的に取り組めるものが中心で、災害発生時に子どもの命と生活を守るために有効だ。参加者や講師の示したポイントをまとめると、以下の通りになる。
- 授乳・ミルク関連:液体ミルクの保管方法を把握。夏季は温度管理(クーラーバッグ等)が必要。哺乳瓶が使えない場合に備えて使い捨てコップなど代替器具を準備。
- 衛生・おむつ:おむつやウェットティッシュなど乳幼児ケア用品の備蓄を常備。
- 救命・応急対応:AEDを含む初期対応の基本を学び、実際に触れて慣れておく。
- 心のケア・ストレス軽減:限られた資源の中で、赤ちゃんと家族のストレスをどう減らすかの工夫を共有。
| 項目 | 講座での示唆 |
|---|---|
| ミルク | 液体ミルクの扱い・暑さ対策、使い捨てコップの活用 |
| AED | 親子で触れる学習で救命の初動を理解 |
| 地域事情 | 産科等の医療施設が少ない地域での自助・共助の重要性 |
市側は今後も地域の実情に応じた情報提供を継続するとしており、特に乳幼児を抱える世帯には日常的な備えの見直しと、地域での学習機会への参加を呼びかけている。
飛騨地域のように医療機関が限られる地域では、自治体の支援だけでなく、家庭での準備と近隣との連携が災害時の安全確保に直結する。日常の備えは家族の安心にもつながる。赤ちゃんがいる家庭は、今回の講座で示された視点を参考に、必要な物資や情報の点検を進めてほしい。