県の認定38品目、浸透は限定的
ちばぎん総合研究所(千葉市)が行った首都圏を対象とするウェブアンケート調査(2026年3月3〜5日実施、県内500人・東京・神奈川・埼玉で500人、計1,000人が回答)で、千葉県が認定する「千葉ブランド水産物」について認知度が総じて低い実態が示された。県が2006年に創設した認定制度は、2025年11月時点で生鮮や加工品など計38品目を認定しているが、広域での浸透には課題が残る。
調査結果では、県内での認知度が高かったのは外房イセエビ(63.4%)、九十九里地はまぐり(61.4%)、三番瀬ホンビノス貝(46.2%)の順だった。一方で生鮮水産物19品目のうち9品目は認知が20%を下回り、県民の中でも十分に知られていない品目が多い点が明らかになった。
県外(首都圏)での上位は、九十九里地はまぐり(39.0%)、外房イセエビ(32.6%)、三番瀬ホンビノス貝(25.4%)で、13品目が20%未満にとどまるなど、首都圏での認知は県内の半分程度という傾向が確認された。
消費者ニーズと漁業現場の取り組みのズレ
同調査では、消費者に「漁港にあったら利用したい施設・機能」を尋ねており、上位は食堂・レストラン(56.4%)、直売所(48.8%)、朝市(32.2%)となった。消費者が漁港に期待するのは飲食や物販といった来訪型の機能であることが示されている。
しかし実際に県内の漁業協同組合に尋ねたところ、現在行っている取り組みの上位は直売所(38.5%)、漁業見学・体験(30.8%)、プレジャーボート係留(30.8%)で、消費者の希望と現場の提供内容にギャップが見られる。直売所は一定の整備が進む一方、飲食を中心とした受け入れ体制や集客施策の強化が求められている。
地域経済・観光への影響と今後の対応
千葉の水産物は、地元の雇用や地域観光に直結する資源である。認知度が低い品目が多いままでは、付加価値の高い流通や地元消費の拡大、観光誘客につながりにくい。特に首都圏という大消費地に近接する利点を活かせないでいる現状は、地域経済の成長機会を逸しているとも言える。
県水産課は調査に対し「県内でも都市部は認知度が低く、PRイベントなどの取り組みを強化している」と説明している。現場での取り組みと消費者ニーズのギャップを埋めるためには、次のような具体策が考えられる。
- 消費者が望む「食堂・レストラン」「朝市」を中心にした漁港の機能強化と運営支援
- ブランドの個別品目ごとのストーリー(漁法・季節性・産地の特色)を打ち出すPR
- 首都圏での試食・販売イベントやデジタルマーケティングの展開による認知拡大
これらは行政だけでなく、漁協・加工業者・観光事業者が連携して取り組む必要がある。漁港施設の整備や飲食店の誘致、消費者の体験型プログラムの導入は投資を伴うため、県や市町村の補助制度や民間資金の活用も検討課題だ。
住民・消費者が知っておくべきこと
地元の消費者にとっては、地産地消を支える意義がある。また、首都圏在住の消費者にとっては、千葉産の水産物を選ぶことで鮮度や価格面での利点を享受できる場合がある。漁港の直売所や朝市、地元の飲食店は旬の食材を手に入れる有力な経路だ。
以下は消費者への実用的な情報である:
- 直売所や朝市は出荷状況や漁獲の関係で営業日や販売品目が変動する。訪れる前に各漁協・直売所の公式サイトやSNSを確認すること。
- 地元での料理や購入機会を通じて、どの品目がいつ獲れるかを知ることがブランド理解につながる。
千葉県の水産品は多様であり、消費者の関心を幅広く引きつける可能性を持つ。一方で今回の調査は、認知拡大に向けた取り組みの加速が必要であることを示した。関係者は消費者ニーズを踏まえた施設整備や情報発信、体験型の受け入れ強化に重点を置くべきだ。地元経済の活性化と持続可能な漁業を両立させるための実効性ある施策の展開が今後の焦点になる。
| 調査対象 | 千葉県内500人、東京・神奈川・埼玉500人(計1,000人) |
|---|---|
| 実施時期 | 2026年3月3〜5日(ウェブアンケート) |
| 県内認知上位 | 外房イセエビ(63.4%)、九十九里地はまぐり(61.4%)、三番瀬ホンビノス貝(46.2%) |
| 県外認知上位 | 九十九里地はまぐり(39.0%)、外房イセエビ(32.6%)、三番瀬ホンビノス貝(25.4%) |
県水産課:「県内でも都市部は認知度が低く、PRイベントなどの取り組みを強化している」
(千葉県担当記者・山田 香織)