青森市中心街の空き店舗活用に新たな試み
青森市中心街で空き店舗の活用を促す新サービス「さかさま不動産青森支局」が今月、開設された。支局を立ち上げたのは、青森駅前で広場などを運営する地域企業「まちづくり青森」。オーナー側が借り手候補の出店計画をウェブ上で閲覧し、自ら貸す相手を選べる仕組みで、県内では初の導入、全国では28例目にあたる。
この取り組みは、従来の"借り手が物件を選ぶ"形とは異なり、物件を持つオーナーの懸念に応える点が特徴だ。まちづくり青森は同市中心街の現状について、空き店舗が多く存在する一方で、オーナー側に見知らぬ人に貸すことへのためらいや、店舗と居住スペースが一体化していること、県外居住で賃貸管理が難しいなどの課題があると説明している。
- 開設主体:まちづくり青森(青森市新町)
- 仕組み:借り手が出店計画を詳細に登録し、オーナーがその計画を見て貸したい相手に直接連絡する方式
- 導入状況:県内初、全国では28例目
まちづくり青森のコーディネーター、植松宏真さんは市中心街の空き店舗数について「300超」と見込んでおり、約90店舗に対して利用を呼びかけているという。植松さんは「今秋頃までに、さかさま不動産を通じた出店第1号を誕生させたい」と意欲を示している。
市民・出店希望者にとっての利点と懸念
この仕組みが定着すれば、次のような効果が期待される。
- オーナーの心理的ハードルを下げられる点:直接出店計画を見て信頼できる相手に貸せるため、貸し出しをためらっている物件が市場に出やすくなる。
- 多様な業態の誘致:出店希望者が計画を詳細に提示することで、既存店舗と競合しにくい業種や地域資源と連携する事業が選ばれやすくなる可能性がある。
- 管理負担の軽減:県外居住のオーナーなど、賃貸や管理に困っている持ち主にとっては、条件に合致する借り手を見つけやすくなる。
一方で留意点もある。出店希望者の計画が必ずしも事業継続に結び付くとは限らないこと、オーナーと借り手の期待にズレが生じる可能性、賃料や修繕費負担など契約面の調整が必要な点は残る。まちづくり青森はこれらを踏まえ、当面はコーディネートや仲介に注力すると見られる。
実際の事例と今後の広がり
すでに出店を目指す個人の動きも出ている。是川茉耶さん(34)は同サービスを通じて、ベトナムのサンドイッチ「バインミー」の店舗開業を目指している。是川さんは、中心街での開店を希望する理由として「バインミーは片手で食べられるため、街歩きの際の軽食として浸透させたい」と述べている。こうした軽飲食の業態は、通行客の利便性を高める点で中心街の回遊性向上にも寄与する可能性がある。
まちづくり青森が呼びかけている約90店舗に対する働きかけがどの程度実を結ぶかで、短期的な効果は左右される。だが、オーナーの声を取り込む手法を前面に出したこのモデルは、物件の遊休化を減らすための現実的な選択肢となり得る。
| 項目 | 内容(出典) |
|---|---|
| 空き店舗数(推定) | 300超(まちづくり青森) |
| 利用呼びかけ対象 | 約90店舗(まちづくり青森) |
| 支局の位置づけ | 県内初、全国では28例目(報道) |
住民が知っておくべきこと
出店が増えれば、日常の利便性の向上や通行客の増加によるにぎわい創出が期待される。既存店舗の取扱品目や営業時間の多様化、イベントと連動した短期出店などの可能性が広がるだろう。一方で、出店後の事業継続性や賃料設定、店舗運営に伴う地域との協調などは、地域全体で支える枠組みが求められる。
空き店舗活用に関する問い合わせは、まちづくり青森(電話:017-721-2111)へ。事業者やオーナー、出店希望者は具体的な条件や管理体制を確認の上、登録・相談することが望ましい。
「今秋頃までに、さかさま不動産を通じた出店第1号を誕生させたい」— まちづくり青森、植松宏真コーディネーター
中心街活性化は一朝一夕には進まないが、オーナーの視点を尊重した今回の取り組みは、遊休資産を地域資源へと転換する具体的な一歩だ。出店希望者とオーナーの双方が現実的な合意を形成できるかが、今後の成否を左右する。引き続き経過を見守るとともに、地域として支援できる仕組み作りの検討が求められる。
(まちづくり・商業活性化の現場に関する問い合わせはまちづくり青森:017-721-2111)