ジェトロ主催の尼崎交流会、企業が採用・定着の課題を持ち寄る
国際貿易投資促進機関(ジェトロ)は7月10日、兵庫県内の支援対象企業を対象とした高度外国人材の企業交流会を尼崎市のオープンイノベーション拠点「ARKade」で開いた。神戸市や尼崎市の企業など16社・20人が参加し、採用から定着に至るプロセスで企業が直面する課題や実務的な対策について議論した。
- 開催場所:尼崎市・オープンイノベーション拠点「ARKade」
- 参加:16社・20人(ジェトロ支援企業)
- 講師:ジェトロ高度外国人材スペシャリスト・加藤将司氏による講演
交流会は前半と後半の2部構成。前半では加藤氏が「採用から活躍まで~高度外国人採用で企業力強化~」をテーマに講演を行い、高度外国人材の活用が単なる労働力補充ではなく、専門知識や語学力、国際感覚を活かした業務を通じて組織の活性化や技術導入に資する点を強調した。また、採用段階での制度趣旨や期待される業務内容の説明がなされた。
「高度外国人材の活用は、専門知識やスキル、語学力、国際感覚を生かした業務に携わることを目的としている」と加藤氏は述べた。
講演では、来日前の動機に関する調査結果も示され、『日本が好きだから』『勉強のため』『スキル・将来のキャリアのため』といった理由が、「お金を稼ぐことや仕送り」を目的とする層を上回っているとの指摘があった。これを踏まえ、Z世代やY世代が職場に求める価値観の変化にも着目。安全・安心な職場環境や良好な人間関係、そしてサステナビリティーに関する取り組みを通じた“意味のある仕事(Meaningful job)”を提供できる職場こそが満足度向上と定着につながると説明した。
企業間のグループワークで現場の知見を共有
後半は参加企業によるグループワークを実施。各社が抱える高度外国人材の採用や定着に関する課題、既に行っている対策、今後の取り組み方針について意見交換が行われた。参加者からは「他社の採用戦略や定着戦略を知る貴重な機会だった」「他社採用担当者との情報交換が新たな発想につながった」「色眼鏡で見ないことの重要性を再確認できた」といった声が寄せられ、実務的な学びとネットワーク構築の場としての評価が示された。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日 | 7月10日 |
| 会場 | ARKade(尼崎市) |
| 参加者 | 16社・20人 |
| 主催 | ジェトロ |
尼崎の企業と地域にとっての示唆
今回の交流会は、尼崎を含む阪神地域の中小・中堅企業が国際人材を採用し、戦略的に活用するための実務的な示唆を得る場となった。ポイントは大きく三つある。
- 採用の目的と配置設計:高度外国人材は専門性や国際的視点をもって受け入れる必要があり、単純作業配置では期待される効果を発揮しにくい。
- 職場環境の整備:安全・安心、良好な人間関係、サステナビリティーに関する取り組みが、若い世代の外国人材の満足度や定着に直結する。
- 文化的理解と再雇用の仕組み:出戻り(再雇用)を歓迎する制度や、出身国の文化理解を深める姿勢が職場の壁を取り払う。
これらは、尼崎市内の製造業やサービス業、研究開発を行う企業にとって、採用活動の設計や人事制度の見直しに直結する課題だ。特に人手不足が続く地域経済においては、国際人材の活用は生産性向上や新市場の開拓につながる可能性がある一方、受け入れ側の準備不足が期待した効果の阻害要因ともなり得る。
実務的な手続き・相談窓口の案内
ジェトロは今後も高度外国人材関連のイベントを継続実施するとしており、詳細はジェトロの高度外国人材関連イベントカレンダーで確認できる。高度外国人材の採用を検討する企業は、最寄りのジェトロ事務所に問い合わせることで、ジェトロによる審査を踏まえた採用支援の相談が可能だ。
尼崎地域の企業担当者は、以下を当面の確認事項として準備するとよい。
- 採用後に担当させる業務内容と期待される役割を明確にすること
- 安全・安心な労働環境の整備や、日常的なコミュニケーション支援(言語・生活面)の体制を検討すること
- サステナビリティーや社会的意義を明確にし、若い世代が「意味のある仕事」と感じられる提示を用意すること
地域の企業が国際人材を戦略的に受け入れることは、技術移転や新規事業開拓、海外展開の足掛かりになる。今回の交流会で示されたポイントを各社が実践に移すことが、尼崎の産業競争力の底上げにつながるだろう。
(取材・文=藤田 早紀)