ユネスコが示す被害規模と長期的影響
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は11日、タリバンが2021年に政権を取り戻して以降、推計で240万人の女子が中等教育から締め出されていると明らかにした。ユネスコは同国を、女子と女性が中等・高等教育を公式に受けることが禁止されている唯一の国だと指摘している。
ユネスコは声明の中で、教育制限がもたらす影響を強く警告している。声明は、こうした措置が「数十年にわたる潜在力の喪失、貧困の深刻化、取り返しのつかない損害に追い込む恐れがある」と述べている。
「数十年にわたる潜在力の喪失、貧困の深刻化、取り返しのつかない損害に追い込む恐れがある」
経済的・社会的影響の見通し
ユネスコの推計では、女子・女性の中等・高等教育の禁止は、長期的に労働力からの離脱を招き、2066年までに約60万人の女性が労働市場から退出することにつながるとされる。これによる累計の所得損失は96億ドルに達すると見込まれている。
さらに、教育機会の制限は早婚のリスク上昇や女性教師の不足を悪化させる点も指摘されている。これらは教育の質と持続可能性に連鎖的な悪影響を与える可能性が高い。
現状の学習・識字の指標
初等教育段階でも問題は深刻で、未就学の子どもは200万人超にのぼるとされる。ユネスコは、10歳の子どものうち約90%超が簡単な文章を読めないと推定しており、国の識字率は37%に留まっている。
- 中等教育から排除された女子:約240万人
- 初等での未就学児:約200万人超
- 2066年までに労働力離脱が見込まれる女性:約60万人
- 推定される累計所得損失:96億ドル
- 国の識字率:37%
教育制限の波及効果と留意点
教育を受ける機会の喪失は個人の所得と生活水準に直結するだけでなく、地域社会の健康、経済の安定、次世代の教育環境にも影響する。女性が教育を受けられない状況が続けば、教育関係職の担い手である女性教員の減少がさらに進み、教育提供そのものが脆弱化する懸念がある。
ユネスコの報告は数十年単位での損失を示唆しており、短期的な救済策だけでは十分でないことが示されている。識字率の回復や基礎学力の向上には、持続的で包括的な教育政策と国際的支援が不可欠だ。
| 指標 | ユネスコ報告の数値 |
|---|---|
| 中等教育から締め出された女子 | 240万人 |
| 初等での未就学児 | 200万人超 |
| 2066年までに労働力離脱見込み | 60万人 |
| 推定累計所得損失 | 96億ドル |
| 識字率(国全体) | 37% |
保護者・教育関係者への示唆
国外にいる教育支援団体や関係国、国際機関の役割は重要性を増している。被害が長期化することを防ぐには、以下のような観点での対応が必要だ。
- 基礎学力と識字支援を重視する長期的なプログラムの設計・実施
- 女性教員の確保と育成に向けた支援策
- 教育機会の回復に向けた国際的な資金・技術協力の強化
日本や第三国の教育関係者、支援団体は、現地の情勢を踏まえつつ、少女と女性の教育権回復に向けた具体的な支援の方法を検討する必要がある。教育の喪失は個人のみならず社会全体の損失につながる点を踏まえることが重要だ。
(出典:ユネスコが発表した報告を報じたロイター配信の報道を基に作成)