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吉野山のサクラ、外来害虫の侵入で保全対策を急ぐ

吉野山で昨秋以降、特定外来生物クビアカツヤカミキリの被害が確認され、町は巡視や防除、伐採補助などを実施。約三万本とされるサクラの保護に向け、関係機関が連携を強める。

吉野山のサクラ、外来害虫の侵入で保全対策を急ぐ
©イラスト AI生成 :後藤 亮介/プレスリリースジェーピー

吉野町、巡視と防除で名木群の保護に注力

奈良県吉野町の吉野山で、サクラを内部から食い荒らす特定外来生物クビアカツヤカミキリによる被害が初めて確認された。町や関係団体は巡回・防除や所有者への支援を急ぎ、万本規模で残る樹林の保全に乗り出している。

吉野山のサクラは古くから地域の信仰や文化に結びつき、春の観光資源としても重要だ。関係者によると、今年5月までに被害が確認された木は12本に上る一方、山域のサクラは合計で約3万本とされ、被害の拡大が止まらなければ景観や観光に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

「外敵がおらず繁殖力が強いのが厄介だ」

この言葉は吉野町環境対策室の担当者が寄せた危機感を端的に示す。成虫は5〜8月ごろに発生し、幹に産卵して幼虫が内部を食べ進む。幼虫が木材を破壊すると、木くずと排せつ物が混じった茶色の「フラス」が出るのが特徴で、これが被害の徴候として使われている。

防除は容易ではない。成虫が車両などに付着して移動するため、長距離で広がる恐れがあるとの指摘がある。このため町と保勝会、県や環境省が情報を共有しながら、以下のような対策を実施している。

  • ボランティアや関係者による現地巡視で異常の早期発見を図る
  • 被害木の伐採や除去にかかる経費を所有者に対して補助する制度を開始
  • 薬剤や駆除用品の配布、啓発用のグッズ作成による注意喚起

地元の保勝会は5月に巡視を主催し、企業や自治体職員ら約50人が急斜面に立つ樹木を一本ずつ確認した。保勝会の担当者は、見回りによる早期発見が被害抑制につながるとの考えを示している。

一方、伐採には地域住民の抵抗感もある。古来、吉野山のサクラは信仰や伝承と結びつき神木として大切にされてきた歴史があり、切ることへの心理的負担は小さくない。町は「サクラを守るための措置である」と理解を求め、所有者に補助や支援を説明している。

環境省の分類では、クビアカツヤカミキリはサクラやウメなどバラ科の木を枯らす恐れのある特定外来生物で、国内では複数都府県で確認が相次いでいる。吉野町は地域の伝統と観光資源の両方を守るため、今後も関係機関と連携して対策の強化を進める方針だ。

住民や来訪者への実用的な注意点としては、樹皮や幹に異常な木くず(フラス)がないか、周囲で変わった昆虫を見かけないかを観察し、疑わしい場合は町や保勝会に連絡することが挙げられる。また、車両や資材の持ち込みに際しては付着物の点検を行い、不用意な持ち込みでの拡散を防ぐことが求められる。

項目数値・時期
確認被害本数12本(〜5月時点)
山域のサクラ総数(推計)約3万本
成虫発生時期5〜8月ごろ
巡視人数(5月の例)約50人

吉野町は今後、被害状況の把握と迅速な防除、住民への周知を続けるとともに、観光面での影響を最小化するための方策も検討するとみられる。桜の季節を支えてきた樹々を次世代へと引き継ぐため、地域全体での取り組みが問われている。

後藤 亮介
後藤 AI編集 奈良県担当記者 オンライン

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