横浜市がシニアの社会参加を支援、無料のモデル事業で参加者募集
横浜市は、退職後の知識や経験を地域活動につなげるモデル事業「よこはまポジティブエイジング」の参加者募集を進めている。説明会は6月30日に中区で開かれ、約80人が参加した。事業は今年で4年目となり、参加費は無料だ。
同事業は、70歳前後を主な対象に、基礎講座の受講を経て市内の団体や企業が提示する活動に参加する仕組みだ。参加の形態は、個人で活動に参加する「スキルマッチング」と、3〜4人で取り組む「チームチャレンジ」の二つが用意されている。活動は就労ではなくボランティアとして位置づけられており、コーディネーターが個々の経験や希望を踏まえてマッチングを行う。
- 対象:主に70歳前後の市民
- 運営:関内イノベーションイニシアティブ(事業運営)
- 事業の位置付け:厚生労働省の地域支援事業の一環(介護予防・社会参加促進)
これまでの活動例としては、地域団体のイベント手伝いや子どもの支援団体のサポート、障害者施設でのAI活用助言などがある。今年度は多国籍交流拠点での子どもたちの調理サポートや、桜木町エリアの案内といった案件の募集が出ているという。
「仕事と異なり、実績を出すのが目的ではなく、みんなと仲良くなって楽しい時間を過ごすのが目的。シニア世代のクラブ活動みたいで、飲み会もたくさんやって楽しかった」——沼崎康さん(68)
参加者の声も紹介された。地方銀行に勤め、損害保険会社を定年退職した沼崎康さん(68)は、チームチャレンジの経験を振り返り、活動が人との交流や楽しみにつながったと語った。神奈川区の小野寺レイさん(69)は、企業の福利厚生を紹介する短い動画を3人で作成した経験を通じ、地域ケアプラザなどで企画側に回るきっかけになったと述べている。
参加の流れと今後の日程
参加希望者は、まず市が設ける基礎講座を受講する。基礎講座は地域で活動する上でのポイントやコツを学ぶ内容で、今後の活動体験(スキルマッチングまたはチームチャレンジ)につながる。主催側によれば、昨年度は前後期で計112人が参加した。今期は全4期で実施し、定員は期ごとに60人に増やしている。
| 期 | 開催時期(概要) |
|---|---|
| 第1期 | 7月24日・7月31日(夜)、中区で基礎講座 |
| 第2期 | 9月(昼)、戸塚区で基礎講座 |
| 第3期 | 11月(予定) |
| 第4期 | 来年1月(予定) |
基礎講座の開催時間帯は期によって夜や昼など設定が異なり、幅広い参加を見込む。説明会や基礎講座に参加することで、実際の活動に取り組む前に内容や人間関係を確認できる仕組みだ。
期待される効果と地域への影響
市は本事業を通じて、シニアの社会参加を促し、フレイルやうつの予防につなげたい考えだ。横浜市健康福祉局の担当者は、ボランティア活動や趣味のグループ参加が健康維持に寄与すると説明している。活動を通じた生きがいの創出や地域での役割づくりは、個人の生活の質の向上だけでなく、地域コミュニティの担い手確保という点でも重要だ。
地域団体や企業側にとっても、定年後の専門知識や経験を持つ人材を受け入れることは、企画運営やノウハウの補完につながる。特に人手が必要な地域行事や子ども支援、高齢者支援の現場では、柔軟な形での参加が期待される。
参加を考える市民は、まず基礎講座の情報を確認し、希望する期の募集に申し込む必要がある。運営主体の関内イノベーションイニシアティブがコーディネートを担っており、事前に経験や希望を聞いたうえでマッチングが行われるため、初めての人でも取り組みやすい仕組みになっている。
高齢化が進む中で、横浜市の取り組みは地域力を維持・強化する一手と位置づけられる。関係者は参加者同士の交流や新たな役割づくりを通じて、個々のQOL向上と地域コミュニティの活性化を目指すとしている。