音楽や多様メニューで“ビール離れ”に対応
横浜市内で複数のビアガーデンが夏の集客競争を繰り広げている。市は「日本のビアガーデン発祥の地」とも言われ、横浜駅周辺などアクセスの良い立地を中心に各店が趣向を凝らし、平日でもにぎわいを見せている。
取材した店舗の一つでは、1970〜80年代に日本で流行した「シティポップ」を店内に流し、レコードジャケットを並べたコーナーを設けるなど“懐メロ”を前面に打ち出している。マネージャーの内田佑輔さんは、シティポップが当時の世代だけでなく現在も人気である点を指摘し、世代を超えた集客を狙っていると説明した。
このような音楽を軸にした演出は、単に飲食を提供する場ではなく「時間体験」を売る狙いがある。来場者からは「雰囲気がよく、ビールが進む」「上司もいる場面でも盛り上がれる」といった声が聞かれ、年代の異なるグループでも楽しめる設えが評価されている。
飲めない人も取り込む多様なドリンクと食の工夫
国内では「ビール離れ」が指摘されており、国税庁のデータでは2024年度の国内ビール消費量が1990年代のピーク時の約3分の1にまで落ち込んでいると報告されている。こうした背景を踏まえ、現場ではノンアルコール飲料やカクテル、ソフトドリンクなど多様なドリンクを揃え、飲めない人や若年層も受け入れる戦略を打ち出している。
また、食事面では国産牛サーロインをはじめとするバーベキューメニューや、海鮮(エビ、ハマグリなど)を組み合わせたプランを提供。食べ放題コーナーには麻辣湯(マーラータン)や中華料理など多様なグルメを並べ、グループでの来店時に満足度を高める工夫が目立つ。
- 音楽演出(シティポップ)で世代をまたいだ居心地を創出
- ノンアルコールを含む多様なドリンクで飲まない層を取り込み
- バーベキューや食べ放題で滞在時間と客単価の向上を図る
季節フェアと営業期間拡大で需要を確保
取材対象のビアガーデンでは、季節に合わせたフェア展開を行っている。8月31日までは「アジアの夏祭り」を実施し、9月からは「ヨーロッパの秋テラス」というテーマで内容を切り替える計画だ。暑さの長期化が続く中、営業期間の延長は追い風となり得るとしている。
内田さんは、イベントを定期的に実施することで「食事だけでなくコンテンツとして楽しんでもらえる」点を強調した。これは単発の集客ではなく、リピートにつながる戦略であり、長期的な営業安定化をめざす試みだ。
地域への影響と利用者への実用情報
こうしたビアガーデンの工夫は、地元経済や観光にも波及する。駅周辺の回遊性を高めることで周辺飲食店や商業施設の利用増につながる可能性がある。特にアクセス良好な立地にある店舗の集客力は周辺のにぎわい創出に寄与する。
住民が利用する際の実用的な注意点は次の通りだ。
- 営業時間やフェアの期間は店舗ごとに異なるため、事前に公式情報で確認すること。
- 人気の時間帯は混雑が予想されるため、グループで行く場合は予約を検討すると安心。
- ノンアルコールやソフトドリンクのラインナップが豊富な店舗もあるため、飲めない人や未成年の同伴も相談しやすい。
最後に、ビアガーデンが従来の「仕事帰りのサラリーマン向け」にとどまらない集客戦略を展開している点は注目に値する。音楽やテーマ、食の多様化を通じて世代を超えた居場所作りを進める動きは、横浜ならではの都市型余暇文化の一端といえるだろう。
「イベントを定期的に行っているので、食事だけではなく、コンテンツで楽しんでいただけるように。暑い時期=ビールがおいしい時期。(長い夏を)逆にチャンスと捉えて、いろんなお客様に来ていただけたらなと思います」 — 内田佑輔(取材店マネージャー)
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 音楽 | シティポップを中心に世代横断的な演出 |
| 飲食 | 国産牛サーロイン等のBBQ、海鮮、麻辣湯など多彩なメニュー |
| フェア | 「アジアの夏祭り」〜8/31、「ヨーロッパの秋テラス」9月開始 |