柳井市議会が反対を採択
柳井市議会は6月29日の令和9年第2回定例会本会議で、上関町で計画の進む使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設に反対を求める請願を賛成多数(9対6)で採択した。請願は市内の住民団体「上関の中間貯蔵施設を考える周防住民の会」が今年2月に提出したもので、採択は住民側の粘り強い運動が議会に影響を与えた結果とされる。
請願の要旨は主に二点で構成されている。第一に、柳井市民の多数が不安を感じ反対の意思を示している上関計画に対し、市議会として明確に反対を表明すること。第二に、県知事の判断に影響を与えるため、周辺自治体の意思表明が重要であると訴えている。
「山口県を核のゴミ捨て場にするな」
請願書では、昨年8月に提出した反対署名が4,172筆(うち柳井市内在住者3,908筆)にのぼることや、一昨年の自治会経由アンケートで約4,000件中72%が反対であったと述べ、市民の反対が広範に存在すると主張している。また、国内の核燃料サイクル事業が相次いで遅延・頓挫している事実を挙げ、中間貯蔵が結果的に長期・恒久的な保管につながる懸念を示している。
議会内の論点と反対論
本会議では採決前に賛成・反対の討論が行われ、賛成討論は6人、反対討論は2人が行った。反対討論を行った友座議員は請願書中の「柳井市民の圧倒的多数が反対である」という表現を問題視した。友座議員は昨年の署名数と本年5月末の柳井市の人口(28,564人)を比較し、署名が市民全体の多数を占めるものではないと指摘し、請願文の表現を改め再提出するべきだと主張した。
同様に平井議員も国や事業者からの説明を十分に聞いたうえで判断すべきだと述べ、請願文の表現について「読者・聴衆を誘導するような誇張表現はふさわしくない」として、不採択や内容の再検討を求めた。
住民運動の経緯と今回の採択の意味
住民側の運動は昨年8月の最初の請願提出以降、継続審査や廃案、選挙の結果を経て、約1年間にわたる取り組みを経て今回の採択に至ったとされる。請願を提出した住民団体は、地域説明や署名活動、アンケートなどを通じて世論を集約し、議会に働きかけてきた。
- 署名数:4,172筆(うち柳井市内在住者3,908筆)
- 柳井市人口(5月末時点):28,564人(請願内で提示された数値)
- 採択日:6月29日(令和9年第2回定例会本会議)
議会採択は法的拘束力を持つ決定ではないが、県や国の意思決定過程において周辺自治体の意向は無視できない要素となる。請願採択が周辺市町や県議会にどのような影響を与えるかが、今後の焦点となる。
住民・漁業・地域経済への影響と今後の見通し
請願は、住民の安全や将来への不安を背景にしている。請願書では、核燃料サイクル事業の遅延や最終処分場の未定といった国内の事情を根拠に、中間貯蔵が半永久的な保管になる懸念を示している。これに対して賛成側は、事業説明の不足や請願文の表現について問題提起しており、地域内で意見が十分に一致しているわけではない。
今後、考えられる展開は以下のとおりだ。
- 周辺市町議会が同様の請願や決議を行う動きが広がる可能性
- 県知事や国に対して、住民の不安に応える説明会や公開の場での議論を求める働きかけが強まる可能性
- 反対・賛成双方によるさらなる情報収集と住民説明が進む中で、地域合意形成が試される局面が続くこと
今回の採択は、地域住民の意思表明として重みを持つ一方で、請願文の表現や手続きに関する議論も示している。住民、自治体、国の三者それぞれが納得できる形での説明と合意形成が課題となる。
住民への実用的な情報
住民が今後の動きを注視するうえで有用な点は次の通りである。まず、柳井市議会の採択は議会の公式記録(会議録)に残るため、関心のある市民は市議会事務局で会議録の入手や閲覧が可能である。次に、請願を提出した住民団体は今後も説明会や署名活動などの情報発信を行う可能性が高く、団体の公開情報に注意すること。最後に、県や国が示す公式な資料や説明会が開催された際には、日程や会場、説明内容を確認し、直接質問や意見表明を行う機会を利用することが住民の意思を反映させるうえで重要である。
今回の議会採択は地域の将来をめぐる重要な節目となった。今後、周辺自治体や県、国の対応と、住民間での議論の行方が山口地域の将来に大きな影響を与えることになる。
(坂本 大樹・プレスリリースジェーピー山口支局)