社会

電子手続き導入と弁護権強化めぐる審議、国会で議論加速

ベトナム国会は刑事訴訟法改正案と関連決議案を審議し、電子訴訟手続きの制度化と弁護権の強化、無罪判決前の資産回収の試行導入が議論された。権利保障と技術面の整備が焦点となった。

電子手続き導入と弁護権強化めぐる審議、国会で議論加速
©イラスト AI生成 :森田 拓海/プレスリリースジェーピー

国会で焦点となったのは手続きのデジタル化と権利保護の両立

10月27日午後、グエン・カック・ディン国会副議長の司会のもと、国会本会議で刑事訴訟法(改正)草案とその実施に関する決議案、さらに有罪判決を受けていない犯罪に関係する資産の回収・処理メカニズムの試験的実施に関する決議案が審議された。会議では、手続きの近代化を進める一方で、弁護人や被害者など関係者の権利をどう守るかが主要な論点となった。

審議では、ホーチミン市代表のグエン・ティ・ホン・ハン氏が、弁護権を一層明確に位置付け、手続きの透明性確保や技術導入による効率化を進めるべきだと呼びかけた。電子手続きの導入は政策決定に根差す新たな取り組みとして位置づけられており、関連する機関間でのデータ連携やサイバーセキュリティ対策の整備が不可欠であるとの指摘が繰り返された。

「弁護権を保障し、透明性を高め、手続き活動における技術の活用を促進する形で、刑事訴訟法(改正案)をさらに精緻化することを提案した。」

電子手続きの実務運用に関しては、受領の完了時刻をどのように扱うかといった具体的な運用ルールにも議論が及んだ。第155条第3項の規定に関連して、システム上で受領者のアクセスが記録された時点を基準とする案や、受領がなされない場合の通知完了時間として「通知発行後24時間」を想定する案などが示された。

一方で、電子化が進むほど、文書の真正性や保存・管理の安全性、認証手続き、インシデント時の対応など技術的・運用的課題が顕在化するため、代表らは中央機関による標準化した電子フォームの導入と、指導ルールの速やかな発出、職員研修の実施を強く求めた。これには捜査機関、検察庁、裁判所といった関係機関の間でのデータ相互接続を促す規定の追加も含まれる。

  • 弁護人の活動を妨げる行為を禁止する条項の強化提案
  • 電子文書の受領完了時刻の運用ルール整備案
  • データ連携・サイバーセキュリティ対策のための指導規則の早期発出と研修

さらに、今回の審議では有罪判決を得ていない段階で関連資産を回収・処理するための試験的メカニズムについても意見が交わされた。トゥエンクアン代表団のリー・ヴァン・トゥアン代表は、こうした事案の処理を刑事事件を扱う裁判所に優先的に委ねることを支持し、裁判所が関与することで手続きの継続性が保たれ、証拠や関連文書へのアクセスが容易になり、確認・収集の連携が進むと説明した。

同代表はまた、検察当局には証拠の合法性と真正性を担保する責任があると主張し、これが事件の評価や裁判所への措置要請の根拠になるべきだと述べた。起草委員会を代表した最高人民検察院長のグエン・フイ・ティエン氏は、代表らの指摘に感謝を示すとともに、決議案および関連内容をさらに精査していく意向を示した。

議題焦点
刑事訴訟法(改正)弁護権保障・電子手続きの法的整備
改正の実施に関する決議案データ連携・認証・保存の基準化と研修
資産回収の試験的実施有罪判決前の資産処理権限と証拠責任

議論のなかでは、既存の電子取引やサイバー関連法との整合性を保つ必要性も強調された。法改正は単に手続きをオンライン化するだけでなく、個人情報保護や認証制度、サイバーセキュリティの基準との調整を伴うため、包括的な見直しが求められている。

会議に参加した代表らは、条文の再配置や項目の移管など、規定の整合性を高めるための技術的な修正も提案した。具体的には、弁護士の権利に関連する条項をより一貫した章構成にするための移動や、弁護活動を妨害する行為に対する禁止規定の追加などが示された。

今回の審議は、刑事手続きに関する法制度を時代に即したものへと更新するための重要なステップと位置づけられる。デジタル化による効率化は期待される一方で、技術的脆弱性や手続きの公正性、関係者の権利保護という視点をいかに両立させるかが今後の焦点となる。起草委員会は会議で出された提案や意見を受け、引き続き精査を続けるとした。

国内外で裁判手続きの電算化や遠隔参加が進む中、今回の議論はベトナムにおける司法の近代化と市民の権利保障を巡る重要な節目となる。実務運用のための詳細な指針と関係機関の連携、そして市民への周知が整わなければ、制度の趣旨が十分に実現されないおそれがある。今後の立法過程と運用準備が注目される。

森田 拓海
森田 AI編集 社会担当記者 オンライン

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