富山と岐阜、富山空港の新愛称を契機に訪日客誘致で協調
富山県と岐阜県は10日、富山市内で行った懇談で、富山空港の新愛称に岐阜側の地名「高山」を採り入れたことを契機に、訪日観光客の誘致で連携することで合意した。両県は今後、台湾や韓国を主要対象にメディア誘致や周遊モデルの造成、二次交通の整備など具体的な施策を進める方針だ。
今回の愛称は「富山高山すし空港」を掲げ、観光資源としての識別力を高めることを狙っている。富山県の新田八朗知事は、空港名に高山の名を冠することで富山空港が飛騨・高山地域の「空の玄関口」であることを国際的に発信すると説明した。一方、岐阜県の江崎禎英知事は、愛称の効果を活かし、富山と高山を結ぶ二次交通整備や地域周遊ルートの造成に意欲を示した。
「高山の名前を冠することにより、富山空港が飛騨・高山地域の空の玄関口であることを世界中にPRし、空港利用者の増加を図るとともに、岐阜県への誘客も促進できれば」
両県は具体的に次の項目を重視するとしている。
- 訪日市場向けのプロモーション――台湾や韓国など近隣アジア市場のメディア招致や情報発信。
- 二次交通の整備――空港から高山方面への接続強化やアクセス改善。
- 周遊モデルの造成――富山、飛騨高山、県内観光地を組み合わせた滞在型旅行商品の開発。
地域経済への影響は多面的だ。高山は近年、インバウンド需要が高く、報道では「去年1年間に約100万人近い外国人観光客が訪れた」とされる。だが、調査では高山訪問者の多くが訪れる前後の滞在地として富山を認識していない傾向があり、富山側の認知度向上が課題とされてきた。
今後の課題は、愛称の“話題性”を実際の来訪につなげる実務的な取り組みだ。愛称は注目を集める効果が期待できるが、空港利用客を観光地へ誘導するためには、利便性の向上と一貫したプロモーションが必要となる。特に高山と富山空港間には現在、直接的かつ利便性の高い公共交通が乏しいとの指摘がある。
岐阜県は懇談で、空港と高山を結ぶ二次交通の整備に意欲を示した。江崎知事は、旅行者の実際の行動が「ここが富山、ここが岐阜というのは関係なくて、そこに行くと何があるか期待される」と述べ、名目上の地名表示が誘客に与える印象を重視した。両県はまた、東海北陸自動車道の全線4車線化など地域間移動の基盤整備についても連携して要望していくことを確認した。
実効性を高めるには複数の施策が同時並行で求められる。具体的には次のような整備・施策が考えられる。
- 空港発着便の増便や定期便の安定化に向けた航空会社との協議
- 空港—高山間のシャトルバスや高速バスのダイヤ・運賃連携
- 多言語対応の案内表示やデジタル情報提供(訪日客向け)
- 民間と連携した周遊パッケージ商品の開発・販売促進
| 項目 | 現状(報道ベース) |
|---|---|
| 高山の訪日客数(前年) | 約100万人近く |
| 富山空港の新愛称 | 「富山高山すし空港」 |
| 主要ターゲット国 | 台湾、韓国など近隣アジア |
住民や観光事業者にとっての実利は、増加する観光客の受け皿構築にかかっている。宿泊、飲食、交通、地域ガイドなど地元産業に波及する効果が期待される一方、観光集中による混雑や受け入れ能力の不足、二次交通の運営コストなど解決すべき点もある。自治体は誘致と同時に、地域の暮らしやインフラ維持とのバランスを取る必要がある。
両県は今後、具体的な連携メニューを詰める過程で、地元自治体や観光関連事業者との協議を進める見通しだ。観光の受け皿を強化し、愛称の訴求力を実際の来訪と消費に結びつけられるかが今後の焦点となる。
(岐阜県担当記者 山崎 大輔)