ドラマ効果を誘客へ:砂丘に「VIVANT」ロゴの砂モニュメント設置
7月26日放送開始のTBS日曜劇場『VIVANT』第2シーズンに合わせ、鳥取県は7月22日、鳥取砂丘駐車場に劇中のロゴを模した巨大な砂モニュメントを設置した。新たなフォトスポットとして来訪者を迎えると同時に、ドラマと連動した観光誘客策を本格化させる狙いだ。
今回の取り組みは、単なる装飾にとどまらない。県は7月8日に県庁内で関係職員を交えた作戦会議を開き、知事が旗振り役となって「別班 鳥取県支部」を名乗り、来県者歓迎のための具体的方策を協議した。県が公式に展開するキャンペーンは、地元の観光振興に直接影響を与える可能性がある。
「本日、ここに別班鳥取県支部を設置。任務の来県者歓迎を成し遂げる」
この発言は平井伸治知事のものだ。知事は過去にもドラマの話題を活用して観光PRを行っており、今回はロゴ設置とSNSキャンペーンなど複数の施策を組み合わせることで来訪者の増加を狙う。
キャンペーンの中身と来訪者への影響
県が発表したキャンペーンの主要点は次の通りだ。期間は7月8日から12月31日まで。参加者は県観光戦略課の公式X(旧Twitter)またはInstagramをフォローし、ドラマのロケ地と考えられる場所の写真にハッシュタグ「#VIVANT鳥取」を付けて投稿する。抽選で3名に、鳥取県の特産品である松葉がに(20,000円相当)が当たる。
- 実施期間:7月8日~12月31日
- 応募方法:公式アカウントをフォローし、該当画像をハッシュタグ付きで投稿
- 景品:抽選で3名に松葉がに(20,000円相当)
ドラマを切り口にした施策は、短期的には撮影地巡りの来訪者を呼び込み、長期的には鳥取の景観や食を知ってもらう契機となる。特に夏から年末にかけての観光シーズンに重なるため、観光施設や飲食店、宿泊業への波及が期待される。ただし、来訪者増に伴う混雑や交通、環境保全の課題にも配慮が必要だ。
地域経済と現場の受け止め
地元観光関係者にとって、テレビドラマとの連動は即効性のある呼び水となり得る。鳥取砂丘は既に県内有数の観光資源であり、フォトスポット化により滞在時間や消費行動が伸びる可能性がある。宿泊予約や飲食利用、土産物販売の増加は期待される一方で、混雑対応や施設管理の負担も増す。
鳥取砂丘周辺の駐車場や交通アクセスは、ピーク時の受け皿として機能するかが鍵だ。県は今回のモニュメント設置と並行して、SNSを活用した情報発信で来訪者の分散やマナー喚起を行う必要がある。訪問者が増える場面で現場の混乱を避けるための案内強化、ゴミ対策、騒音管理などの実務対応が課題になる。
過去の経緯と今回の違い
2023年の第1シーズン放送時にも、劇中の砂漠シーンが鳥取砂丘を連想させ、多くの話題を集めた。今回の特徴は、県内で実際にロケが行われた事実と、県が公式に観光施策を組み合わせている点だ。単なる“話題化”を踏まえ、具体的な誘客施策を打つ点で積極性が増している。
| 項目 | 今回 | 前回(2023) |
|---|---|---|
| 県の公式対応 | 砂モニュメント設置、SNSキャンペーン | 部分的なPR発言など |
| ロケ状況 | 県内でロケ実施(詳細は非公表) | 劇中映像が話題化 |
来県者が知っておくべき実用情報
来訪を予定する観光客に向けて押さえておきたい点は次のとおりだ。まず、砂モニュメントは鳥取砂丘の駐車場に設置されている。写真撮影は可能だが、砂丘ルートや保全区域に立ち入らないよう注意が必要だ。また、キャンペーン参加には県観光戦略課の公式SNSアカウントのフォローとハッシュタグ投稿が必要であり、詳細は県の告知ページで確認すること。
さらに、冬季の気象変化や混雑状況に応じて道路や駐車場の状況が変わるため、公共交通機関の利用や事前の宿泊手配を検討した方が安全で快適だ。地元産品の獲得を目的とする場合は、松葉がにの提供時期や流通条件も確認しておきたい。
取材で見えた県の狙いと懸念点
県はテレビ番組の注目度を地域振興に直結させる戦略を強めている。文化的話題性を観光動員につなげる取り組みは、地域経済の活性化に寄与するだろう。一方で、景勝地としての保全や地元住民の生活への影響をどう最小化するかが今後の課題だ。観光増加に伴う受け入れ体制の強化と、訪問者へ向けたマナー啓発が重要になる。
今後は、県が公表しているロケ地情報の開示状況や、キャンペーンの効果(来訪者数や宿泊者数の増減)を注視する必要がある。ドラマの放送と観光施策が結びつく成功例となるか、地域の持続性をどう担保するかが焦点だ。
(長谷川 豊)