鳥栖市の専門学校で7月28日、日本銀行から県に出向している引馬誠也副知事が留学生約270人を対象に金融の基礎やお金の歴史について講義を行った。講義は、地域で学ぶ外国人を対象とした金融リテラシー向上の取り組みの一環であり、多文化共生や日常生活での実務的な支援という観点から市民生活にも影響を及ぼす内容だった。
講義の内容と狙い
引馬副知事は、物々交換から貨幣の誕生、銀行の役割、預金や貸出の仕組み、決済の基本などを整理して説明した。講義では専門用語を避け、図や具体例を用いて、留学生が日本での生活や学びの中で直面しやすい場面――銀行口座の開設、公共料金の支払い、給与の受け取り方、送金手続きなど――に即した実用的な知識を重視した。
「物々交換から貨幣へと移り、金融の仕組みが私たちの暮らしを支えている」
(講義の導入で示された説明の要旨)
地域への具体的な影響
今回の講義は単発の授業にとどまらず、以下のような地域的な効果が見込まれる。
- 留学生の金融理解が深まることで、銀行口座開設や契約手続きが円滑化し、トラブル予防につながる。
- 多文化共生の推進に資する取り組みとして、自治体や教育機関が連携するモデルケースとなる可能性がある。
- 将来的に地域経済への参画(アルバイト、起業、消費活動など)を促進し、地元商店やサービスの利用増につながる。
鳥栖市や受け入れ側の専門学校にとって、金融教育は留学生の生活支援や地域社会との接続を強める重要な施策だ。日常的な金銭トラブルや誤解を避けるための基礎知識を事前に提供することで、学生本人の安心にも寄与する。
講義の受け手と実施体制
対象となったのは、鳥栖市桜町のCODO外語観光専門学校で学ぶ留学生ら約270人。同校は観光や語学を学ぶ学生が多く、地域での就業や観光業との接点も想定されることから、金融知識の周知は実務面でも有効だ。講義は学校側と県当局の調整で実施され、日本銀行からの出向者である副知事が講師を務めた。
| 開催日 | 2026年7月28日 |
|---|---|
| 場所 | CODO外語観光専門学校(鳥栖市桜町) |
| 対象 | 留学生ら 約270人 |
| 講師 | 引馬誠也・副知事(日本銀行からの出向) |
留学生への実務的助言と今後の展望
講義では具体的な行動指針も示された。銀行口座開設に必要な書類、公共料金や携帯料金の支払い方法、キャッシュレス決済の特徴、送金手数料に関する注意点など、留学生が日本で生活する上で直接役立つ情報が中心だった。自治体や学校がこうした知識を体系化して継続的に提供すれば、生活基盤の安定化につながる。
また、多言語での案内や相談窓口の充実、金融機関側の対応力向上も課題として浮かぶ。地域の金融機関や市役所、教育機関が連携してワンストップで支援できる体制づくりが望まれる。
留学生・保護者・事業者への実用情報
今回の講義に参加していない留学生や保護者、地域の事業者に向けて押さえておきたいポイントは次の通りだ。
- 銀行口座開設:在留カードやパスポート、学校の在学証明などが必要になる場合が多い。事前に金融機関へ確認を。
- 公共料金の支払い:口座振替やコンビニ・ネット決済など複数の方法がある。料金通知の読み方を理解すること。
- 送金と手数料:国外送金は手数料と為替レートの違いで受取額が変わる。複数の送金方法を比較することが重要。
自治体や学校は、今回のような講義を継続的に実施するほか、案内資料の多言語化や地域金融機関との協働で相談体制を整備することが、実効性ある支援につながる。
今回の取り組みは、地域で学ぶ外国人が日常生活を送りやすくするための重要な一歩だ。生活の基盤が安定すれば学業や就労機会の拡大にも寄与し、長期的には地域経済の活性化にもつながる可能性がある。市や教育機関、金融機関の連携強化が今後の鍵となるだろう。
(西村 剛)