「天職」をめぐる実感は4割弱〜調査の概要と主な数値
転職サービス「doda」が実施したアンケート(対象:全国の22~59歳の正社員、回答者数は5,154人、実施時期は2026年2月)で、これまでのキャリアの中で「自分にとっての天職だと感じたことがある」と答えた人は41.2%に上りました。一方で過半数は明確に『天職』と感じていないものの、現在の仕事を続けているなど、必ずしも全員が天職を求めて行動しているわけではありません。
職種別に見える「天職」の捉え方の違い
この調査では「天職の意味に最も近いもの」を複数選択肢から選んでもらった結果、回答上位は以下の通りでした。
| 選択肢 | 割合 |
|---|---|
| 好きで続けたい(やりがい重視) | 26.9% |
| 自分らしさを活かせる(価値観・性格一致) | 21.1% |
| 条件も含めて総合的に合う(収入・働き方・人間関係) | 18.1% |
これを職種別に分解すると、重視点に特色が出ます。たとえば販売・サービス系やクリエイティブ系では「好きで続けたい」が特に高く(それぞれ35.8%、35.3%)、技術系や金融の専門職では「得意で成果を出しやすい(適性・スキル重視)」が相対的に上位に入りました(技術系で25.0%、金融系専門職で50.5%)。
「天職」を感じる要素は内面と環境の両立
「天職だと言える仕事の条件」についての設問では、次の3項目が特に高くなっています:『好き・興味がある』43.7%、『得意・強みを活かせる』39.5%、『ストレスが少ない』37.5%。単に仕事の内容が好きかどうかだけでなく、日々の負担や報酬、人間関係といった職場環境が組み合わさったときに初めて『天職』を実感する人が多いことが示唆されます。
- 販売・サービス系:ストレスの少なさ(43.4%)が重要視される傾向。
- クリエイティブ系:好きで続けたいという動機が高い(35.3%)。
- IT・通信の技術系:得意・強みを活かせること(43.2%)を重視。
こうした違いは、職務の性質や評価の仕組み、労働時間や働き方の柔軟性などが反映されていると考えられます。調査は職場選びにおける何を優先するかが、職種によって大きく異なる現状を明らかにしました。
当事者の声から見える実感と葛藤
調査結果は数値で示されますが、そこには個々の生活や価値観が反映されています。たとえば「好きだが収入が見合わない」「得意だが長時間労働が続いて体調を崩しかけた」といったジレンマは、多くの働き手の実感として存在します。職種ごとの傾向を踏まえると、企業が人材定着を考える際に何を改善すべきかの指針が見えてきます。
労働政策や人事の観点では、単に給与や雇用条件を整えるだけでなく、仕事内容の満足度や適性マッチング、職場のメンタルヘルス対策、柔軟な働き方の整備といった複合的な取り組みが求められます。特に若年層と中高年層で価値観が分かれやすい点も考慮すべきです。
今後の示唆と課題
この調査は全国の正社員を対象とした大規模データであり、働く人々の価値観の多様性を浮き彫りにしました。政策立案者や企業の人事担当者にとっては、職種ごとの優先事項を踏まえた施策設計が重要です。
- 採用時のミスマッチを減らすための適性検査や職務の透明化。
- キャリアパスやスキルアップ支援による『得意を伸ばす』環境整備。
- ワークライフバランスやメンタルヘルス対策の強化。
また、個人にとっては「天職」を待つ受動的な姿勢だけでなく、自身の強みや働き方の優先順位を見直す能動的なキャリア形成が求められます。調査結果は、働く現場で何が求められているかを示す一つの指標であり、働き手と雇用側双方による対話と改善が重要です。
今回の分析は「doda」が公表した調査結果に基づくものであり、職種別の割合などは同調査の数値を引用しています。働く実感は個人ごとに異なりますが、職場環境と個人の適性・価値観の両面から取り組む必要性を、この調査は改めて示しました。