概要と参加事業者
岡山県岡山市北区に本社を置く株式会社両備システムズは、厚生労働省の「令和7年度自治体検診事務デジタル化先行実証事業」において、大阪府吹田市で実施された実証に参画しました。同社は検診施設向けアプリ「Huvital(TM)(ハビタル)」を提供し、実証環境の整備と検診施設での運用支援を担当しました。事業は国が進める全国医療情報プラットフォームやPMH(Public Medical Hub)と連携する医療DXの一環です。
実証の中身――対象と期間
実証は、2025年10月から2026年3月までの期間に、吹田市内の検診施設6か所で実施されました。対象は大腸がん検診の3施設と歯周疾患検診の3施設で、個別検診を想定した受付から結果管理までの一連の業務フローをPMHと連携して検証しました。両備システムズは、資格確認、問診の確認・修正、検診結果の登録・送信など、実証用に開発した機能を提供しています。
期待される効果と現場での確認点
国や関係自治体が目指す医療DXの文脈では、紙中心の手続きからの転換が急務とされています。今回の実証で想定される主な効果は、以下のとおりです。
- 自治体および検診施設における事務負担の軽減
- 住民側の手続き利便性の向上(資格確認や結果の受け取りなど)
- 検診結果の迅速かつ安全な情報連携による二次利用の可能性
一方で、運用面と技術面の課題も整理されました。実証の目的は、こうした課題を明確にして業務設計や運用モデルの改善につなげることにあります。両備システムズは、今回得られた知見を今後の改善に反映させるとしています。
住民への影響と利便性
住民にとっての直接的な影響は、検診手続きの簡素化と結果受領の効率化が期待される点です。紙の問診票や窓口での手続きが多い現在の運用に比べ、デジタル化により以下の利点が想定されます。
- 会場での受付時間短縮や行列の緩和
- 資格確認の自動化による誤記入や確認手続きの削減
- 検診結果のデータ化による医療機関・自治体間の情報共有の迅速化
ただし、デジタルツールを活用できない住民への配慮や、個人情報の取り扱い・セキュリティ確保は引き続き重要です。実証ではPMHを通じた情報連携の運用面・技術面の課題抽出が行われており、これらの点が整備されることが全国展開の前提になります。
自治体・医療機関側の視点
自治体や検診施設にとっては、日常的な事務作業の効率化と人員配置の見直しが可能になる一方で、新たなシステム導入に伴う運用負担や教育、既存システムとの連携作業が課題となります。実証は、業務フロー上の課題を洗い出す機会となり、今後の業務設計に資するデータと現場の声を提供することが期待されます。
今後の展望と留意点
両備システムズは、本実証での知見を基に自治体検診のデジタル化支援を継続すると表明しています。また、同社は「Huvital(TM)」について予防接種や母子保健分野にも対応予定で、2026年8月末に予防接種事務のデジタル化に対応した医療機関アプリのリリースを予定しているとされています。こうした展開は、PMHの活用が進む分野での業務効率化につながる可能性があります。
ただし、全国展開に向けては、住民の利用環境の格差解消、個人情報保護、既存業務との整合性確保など、運用ルールと技術基盤の整備が不可欠です。吹田市での実証がどのように運用改善や住民サービスの向上に結び付くか、今後のフォローアップが重要です。
本実証は、自治体検診DXに係る自治体・検診施設等のニーズ把握と運用面・技術面の課題洗い出しを目的としています。
| 実証期間 | 2025年10月〜2026年3月 |
|---|---|
| 対象検診 | 大腸がん検診(3施設)、歯周疾患検診(3施設) |
| 提供アプリ | Huvital(TM)(両備システムズ) |