概要
上智大学は理工学部にデジタルグリーンテクノロジー学科(Department of Digital Green Technology、DGTech)を新設し、文部科学省への届出受理と収容定員増の認可を経て、2027年4月に開講すると発表した。学科は、気候変動や資源制約といった地球規模の課題に対応するため、データサイエンスを基盤とした工学的アプローチでGX(グリーントランスフォーメーション)を担う人材を養成することを目的とする。
教育の特徴と方針
学科の最大の特色は、教育・評価・研究指導を含めてすべて英語で実施する点である。国際的な課題解決能力を育むため、英語を通じた高度な理工教育を標榜する。理工学の既存分野を横断するカリキュラム設計により、データ解析やアルゴリズムの知見を化学・生命・機械・電気電子などの領域と結び付けることを狙う。
"全授業を英語で行う学位プログラム"
また、実社会での実装力を重視し、企業や自治体との共同プロジェクトやインターンシップを通して課題発見から実行までを経験させる教育実践を導入する。アントレプレナーシップや知的財産、国際標準化に関する教育も組み込み、研究成果の社会展開を視野に入れる。
組織と教育体制
入学定員は50名、初期配置予定の教員数は10名としており、少人数による密度の高い指導を行う方針だ。カリキュラムは大きく三つの柱で構成される。すなわち、応用化学・生命科学に関する領域、機械・電気電子・物理に関する領域、そしてそれらを支えるデータサイエンス・情報学の領域である。
- 1・2年次:数学や基礎的なデータサイエンス、自然科学の基礎を重視
- 3年次以降:専門分野の深化とGX関連の応用科目の履修
- 4年次:卒業研究で課題設定から解決策の提示まで実践
早期段階からプログラミングやデータ解析の実習を組み込み、理論と実践を段階的に積み上げる設計だと説明している。
配属予定の専門領域
発表された教員の専門分野(2026年7月8日付)には、アルゴリズム、バイオインフォマティクス、物理化学、マテリアルズインフォマティクス、バイオメディカル、都市交通やエネルギーマネジメント、画像情報と自動運転、情報セキュリティ、ネットワークサイエンス、時系列解析など多岐にわたる領域が含まれる。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 入学定員 | 50名 |
| 教員予定数 | 10名 |
| 開設時期 | 2027年4月 |
背景と意義
国内外で脱炭素や資源制約への対応が急務となるなか、デジタル技術と工学的知見を結び付けて社会変革を主導できる人材の需要は高まっている。一方で、DXやGX関連の専門人材は世界的に不足していると指摘される。今回の学科設置は、そうした人材供給の穴を埋める試みであり、産学連携を通じた実務適応力の育成を重視している点で教育界と産業界にとって注目すべき動きである。
全課程を英語で実施することは、国際的な共同研究や海外でのキャリア形成を志向する学生にとって魅力となり得る。ただし、英語教育の質とともに、研究・実務経験を持つ教員の確保や産業界との継続的な連携体制の構築が課題となる。
期待される影響と課題
短期的には学内外での人材育成の取組が活性化し、産業界との共同プロジェクトが増えることが期待される。中長期的には、データ駆動型の技術を持つ人材が増えることで、企業のGX推進や公的機関の政策立案に実務的な貢献をする可能性がある。
- 期待される効果:国際的人材の育成、産業界との連携強化、研究成果の社会実装
- 主要な課題:英語運用能力の担保、教員の多様性と専門性の確保、実務連携の継続性
教育機関が果たす役割としては、高度な基礎教育と実務に直結する応用力を両立させることが求められる。学科側は既存の英語による理工教育の実績を生かすとしているが、実際の運営では学生の多様なバックグラウンドに対応した指導体制や支援制度が重要になるだろう。
入試・説明会など
入学試験の詳細やカリキュラムの具体的内容、入学を希望する学生向けのオンライン説明会の案内については、大学が別途公表するとしている。出願・選抜方法や英語要件、学費などの詳細は現時点での発表資料に基づき順次明らかにされる見込みだ。
上智大学は新学科について、国際的な視点でGXを牽引する人材の育成を目指すと説明しており、今後の実施状況や事後評価が注目される。