2013~2015年に実施された生活保護費の大幅引き下げをめぐり、最高裁が違法と判断したにもかかわらず、国が別の計算方式で改めて減額(以下「再減額」)を行ったことへの不服をめぐり、大阪府内の生活保護利用者ら約180人が2026年7月21日、行政不服審査法に基づく審査請求書を府に提出した。提出は支援団体と弁護士が同行して行われた。
なぜ再び争点になったのか
争点の発端は、2013~2015年に行われた保護費の大幅引き下げに対して最高裁が違法と判断した点にある。最高裁は物価下落を保護費に反映させるいわゆる「デフレ調整」を違法とし、引き下げを取り消す判決を示した。しかし、その判決後、厚生労働省はデフレ調整とは別の計算方法を用いるなどして再び減額を行い、これが「再減額」として受給者らの間で問題となった。
「司法判断を軽視し、法の下の平等にも反する」
再減額をめぐっては、全ての受給者に同様の扱いがなされていないことが批判されている。記事によれば、原告に限っては特別給付金を上乗せする決定がなされる一方、一般の利用者への対応は自治体ごとに進行中であり、追加給付の実施状況には差が出ているという。
現場の声と実生活への影響
21日に府庁を訪れた利用者の訴えは切実だ。大阪市在住の79歳の男性は医師からの指示でエアコン使用が必要だが、電気代の捻出のため食事量を抑えていると述べ、国が追加給付額を削った影響の大きさを指摘している。今回の審査請求は、請求が認められない場合、訴訟も辞さない構えだとされる。
- 審査請求の提出:2026年7月21日
- 対象:大阪府内の生活保護利用者ら約180人
- 支援:市民団体「引き下げアカン! 大阪の会」や弁護士が同行
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2013〜2015年 | 生活保護費の大幅引き下げ実施 |
| 最高裁判決(昨年6月) | デフレ調整を違法と判断、引き下げを取り消し |
| 判決後 | 厚労省が別の計算方式で再減額を実施 |
| 2026年7月21日 | 大阪で約180人が審査請求を提出 |
今後の見通しと自治体対応
記事は、厚生労働省の方針に基づき全国の自治体で差額の追加給付が始まっていると伝えるが、自治体間で対応の進捗には差がある。大阪府内では元原告らへの支払いはほぼ完了し、現在は一般利用者への支払いが始まっているという。審査請求の結果次第では、追加給付の対象や算定方法、さらには国と司法の関係性に関する議論が改めて活発化する可能性がある。
受給者の生活に直結する問題だけに、審査請求の行方は注視に値する。今回の集団請求は、司法の判断に基づく救済を全国的な規模でどう実効化するか、また行政がその後の措置をどう説明・運用するかという点で重要な節目となるだろう。
問い合わせや今後の手続きは、支援団体や弁護士会などを通じて情報提供が続く見込みだが、当事者は自らのケースに即した対応を早めに確認することが求められる。