富山で生まれた、着物を身近にする工夫
富山大学4年の山谷うみさん(23)と富山市のリサイクル着物店「きもの猫田」が共同で開発した和装下着「さら襦袢」が、初心者にも着付けしやすい点を売り物に商品化された。素材には竹の繊維を用い、柔らかな着心地と風通しの良さを特徴としている。一般価格は1枚6,480円で、通販サイトなどを通じて販売中だ。
山谷さんは富山県高岡市出身で、富山大芸術文化学部で日本文化を学ぶ。中学時代に茶道部で浴衣を経験したことが着物への関心につながり、大学で再び茶道を始めたという。2025年4月から「きもの猫田」でアルバイトを始め、店のスタッフや顧客の声を取り入れながら、昨年秋から半襦袢の試作に取りかかり、今年5月に完成させた。
商品設計のポイントと使い勝手
店と共同で進めた試作は、実際に着物を着る場面での使い勝手を重視したという。主な特徴は次の通りだ。
- 脇を深めに設計し、襟合わせがしやすく着崩れしにくい形状
- 着物の袖口を汚しにくい筒袖仕様
- 長時間着用しても苦しくなりにくいよう、ひもを長めに設定
- 竹繊維によるさらさらした着心地と通気性
こうした設計は、着付けに不安を抱く初心者や、長時間の式典・行事で快適さを求める高齢者・中堅世代にもメリットがある。店側はフリーサイズでの展開としており、着物を普段着的に取り入れたい人や、和洋折衷のコーディネートを楽しみたい人を想定している。
地域への影響と意義
今回の取り組みは、若い世代の視点を取り入れた地域発のプロダクト開発という点で意義が大きい。具体的な効果や波及は次のように考えられる。
- 着物を着るハードルを下げることで、着物関連の消費喚起が期待できる。
- リサイクル着物店という既存の地場事業と大学生の知見の融合が、新しい付加価値を生むモデルケースとなる。
- 地元の素材・技術や地域文化の保存・活用に関心を向けるきっかけになる。
リサイクル着物店が販売ルートを持つことで、単なる試作品に終わらず商品としての流通が可能になった点も注目に値する。店の公式インスタグラムでは、山谷さんが着物の下に着たりロングスカートに合わせたりする写真を投稿しており、SNSを通じた情報発信も販促に寄与している。
住民が知っておくべき実用情報
購入や試着を検討する際に押さえておきたい点を整理する。
- 価格:1枚6,480円(一般価格、通販サイト等で販売)
- サイズ:フリーサイズ(詳細は販売ページで確認)
- 素材:竹の繊維を使用(吸湿・通気性を重視した仕様)
- 入手方法:店頭のほか通販での取り扱いがある。店舗のSNSで着用例を確認可能
着物を着る機会が増えるこれからの季節や、行事・式典での着用を考える人は、襦袢選びが着付けのしやすさ・快適さに直結するため、選択肢の一つとして検討してよいだろう。特に初めて着物を用いる若年層や、着付けに自信がない人には実用的な工夫が多い。
今後の展開と期待
山谷さんは今後、大学卒業後に「きもの猫田」へ就職し、SNSなどで着物の魅力を発信していく意向を示している。若い担い手が地域の伝統文化と関わり、事業に結びつける動きは、他の地域や業種にも広がる可能性がある。
「着物をもっと気軽に楽しむきっかけになれば」
この開発は、地元の素材や商いの知見を活かしつつ、伝統文化の敷居を下げる試みとして評価できる。消費者側は実際に手に取って機能性を確かめること、店側は着用シーンの提案やサイズ展開、アフターケアの情報提供を充実させることが課題となる。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 商品名 | さら襦袢 |
| 開発者 | 富山大学4年 山谷うみ、きもの猫田(富山市) |
| 特徴 | 竹繊維、筒袖、脇深め、ひも長め |
| 価格 | 1枚6,480円 |
| 販売 | 店頭・通販サイト、店舗SNSで着用例公開 |
地元の若い世代が実務的な課題解決を通じて伝統に新しい価値を付ける動きは、今後も注目に値する。着物を「特別な場だけで着る服」から「もっと日常に取り入れられる服」へと変えていく試みが富山から始まっていることを、地域住民は知っておいて損はない。
(井上 麻衣)